「やる気の出ない人」は、頭と心のバランスが悪かった。

仕事の質に関わるといってもいい「やる気」。常にやる気満々に見える人は、じつは「いざ」というときに100%発揮しているだけで、普段は60~70%に抑えていることが多いそうです。

エグゼクティブ・コーチ(相手の能力を最大限発揮させるために会話を通じて引き出すこと)として活躍中の和気香子さんの著書『人間関係の整理術』(クロスメディア・パブリッシング)では、やる気が起きなくて困っているS子さんとのエピソードを通じて、自分の積極的な気持ちとどう向き合うかについて書かれています。

「やる気」と上手に付き合って生活すれば、心も体もより良い状態に向上しますよ!

毎日がつまらない…
S子さんの状況

ここ数ヶ月、なんだかやる気が出ません。とくに理由はないけれど、仕事も私生活もぼんやりしてしまいます。以前のような真剣さがなく、みんなが一生懸命働いているのにと罪悪感を覚えます。何より、毎日がつまらない。だからといって自ら積極的に動く気にもなれず、このままじゃダメ人間になりそう……。

S子さんの状態をまとめると以下のようになります。

・S子さんの心の状態

「つまらない。みんなに悪いなぁ」

・S子さんの頭の状態

「やる気がないとダメ人間になる。なんとかしなきゃ」

・心と頭を一致させると……?

一見すると、心と頭が協力しているように見えます。しかし、やる気が出ないのは、心の奥底に違う考えがあるからです。それを引き出してみると良いかもしれません。

「理由」はなさそうでも
「きっかけ」がある

S子さんに「やる気が出ないと感じるようになった頃のスケジュール帳を見返してみてください。どんなことがありましたか?」と聞いてみました。

「3ヶ月前だと……そうだ、あの頃は忙しくて。締め切りもあって、仲間と駅伝の大会に出たりで自分の時間がなかったんです」とS子さん。私(著者)は「当時のやる気は10点満点で何点くらいでしたか?」と尋ねると「10点」とのこと。でも今は5点だというのです。最後に「もっと忙しくなれば、自然にやる気は上がるのかな?」とつぶやいたS子さん。

どうやらここに答えがあるようです。

やる気を比較してみる

一生懸命に打ち込んでいたことや大きな締め切りが終わると、張り詰めていた気が緩み、やる気が下がったように感じられるのは、とても自然なことです。「やる気がない」ように見える状況でも、じつは心が「少し休憩させて」と言っているのですね。

理由が思い当たらないのにやる気が出ない場合、こんなことを考えてみましょう。

「やる気が出ないと感じるようになった頃、どんなことがあった?」

こうした思考になった場合、落ち込むことがなくとも、自分の変化に気づく場合が多いです。その時点と現在のやる気をスケーリングしてみてください。もし「それはそれとして、まだなんとかしたい」と思う場合には「やる気をそこから1点上げるには、どんなことができそう?」と考えて実行するとやる気は上がります。

心も身体と同じように大切なものなのに、心の健康はつい軽視されてしまいがち。心を身体に置き換えてみてください。毎日フルマラソンを走っていたらどうなりますか? 疲れて身体も動かなくなりますよね。毎日やる気を120%出し続けているのはそんな状態です。筋トレについても同様。筋肉は、休みを挟んで継続的に鍛えることで強くなります。心も同様に、適度に休みが必要だと思います。

この思考は、普段「やる気」が出ないと落ち込んでいる人にも同じ対策がとれるはずです。あまり追い詰めずにやる気が上がるのを待ちましょう。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。