心の声を無視してしまう。あなたを縛る「悪いクセ」。
人生のあらゆるシーンで、心にある本音を抑えてでも場を乗り切らなくてはいけないことは多々あります。生きるって大変。でも、「自分のやりたいこと」を考えるクセが失われるのはとても残念なこと。
コーチング(相手の能力を最大限発揮させるために会話を通じて引き出すこと)で、多くのビジネスパーソンを救ってきた和気香子さんの著書『人間関係の整理術』(クロスメディア・パブリッシング)では、自分の心の声と向き合うことの重要性について語られています。
「やりたいこと」が見つかっていない人や「この仕事は自分がやるべきなのか」など、自分の本当の気持ちをうまく表現できない人は必見です。
世間の“呪縛”が
心の声を消していく
大人になるほど自分に関わる人がどんどん増えていきます。親、学校、会社、世間……。そうした人たちとの関わりで「こうあってほしい」、「こうあるべき」という「他者の望むこと」を人間は学習します。
そして他者を基準とした、いわゆる「他人軸(他人の評価を気にしてしまうこと)」が刷り込まれていくのです。他者や社会が求める通りに振る舞えると、他者に選ばれるようになり、自己肯定感は満たされるし、何より摩擦を減らして生きられます。一方で、あなたの心も成長し、「やりたいこと・やりたくないこと」、「好き・嫌い」も増えていくでしょう。けれど、他人軸が強くなると、他人の望みを自分のものと勘違いするようになり、やがてそれはあなたを縛る「クセ」になります。
知らない間に身についているネガティブなクセですから、呪いのようですね。私(著者)が学生時代に「東大へ行きたい」と思ったのがその最たる例。両親も先生も「東大は良いよ」と折に触れて言っていましたから、自分で考えるまでもなく刷り込まれていたのです。
感情を「コントロールする」のと
感情を「抑える」ことは違う
大人になると心の声を無視することが多くなります。
「本当はやりたいことがあるんだけど、この年でそんなことを考えるべきではない」……と、自分の「やりたいこと」を封じ込めたり、「感情をコントロールしたい」……と「怒り」や「悲しみ」など、「ネガティブな感情を抑えるのは良いこと」という刷り込みがあるばかりに、本当は怒っていても感情を抑えようとする人がいます。
はっきりいって「怒っているのを相手に見せないようにする」と「怒りを感じないようにする」は別物。前者は怒りを感じたうえで相手にぶつけないもの。後者は、そもそも怒りを感じるのを自分に禁じることです。
この違いを明確に分かっていなければ、息苦しい生活を過ごすことになってしまいます。まずは、心の声に耳を傾けることから始めてください。
心と頭が一致すると、
ひらめきが生まれる
「自分のここが悪い」、「あの人のあそこが悪い」と原因が分かってもどこかスッキリしない……。そんなモヤモヤは、心と頭が一致していないサインです。他人軸思考では腹落ちせず、一生解決されません。
自分軸(自分が何をしたいのか素直になること)は、いわば心のスイッチ。心と頭が一致すると、心のエネルギーが電流のように頭に流れて自分を幸せに導く策をひらめきます。心の声に耳を傾けるクセをつけると、自分が感じていることが分かるようになるのです。
本当は自分がどうしたいのか? そのためにどんなことができるのか?
「ムリ!」と考えるのではなく、「やってみよう」と考えるクセをつけるトレーニングをすれば、うまくいく確率が上がります。ぜひ、試してみてください。