セルフレジ「不要論」、欧米で加速
スーパーやコンビニなど、多くの場所で導入が進むセルフレジ──。
最近、欧米では小売店らがレジを従来の有人形式に戻す傾向にあるという。『BBC』のコーナーのひとつ「WORKLIFE」より、興味深いコラムを紹介したい。
報道によると、米大手小売店「Target」では、セルフレジで一度に購入できる商品数を制限したり、「Walmart」ではいくつかの店舗でセルフレジを廃止。また、英大手スーパー「Booths」でも、同じくセルフレジの数を減らしているという。
レジ業務を自動化し、コスト削減や業務効率の向上などメリットがあると思われてきたセルフレジ。顧客側からしても、レジ待ち時間の短縮やキャッシュレス対応など利点は多いようにも思える。
が、現状期待していたほどの効果は得られていないとコラムは小売店側のネガティブ面を取り上げてる。
たとえば、セルフレジ導入により配備されるスタッフの人数が削減されたものの、会計時のトラブル対応もしなければならないこと。それは機械的なエラーだけではない。日本でもアルコール類の購入時など年齢確認画面が表示されるが、いまだに自動化できない業務については、都度スタッフが介入する必要があるからだ。
さらに、問題視されているのが“万引き”だそう。BBCが報じたところによると、セルフレジを導入してから商品の窃盗件数が増加したと回答した企業も多く、損害規模は売り上げの3.5%ほどに達しているといった報告も。また、LendingTreeが消費者へ実施した調査では、セルフレジ利用者の69%が窃盗が容易になるとの回答も。
適材適所への人員配置やモラルの問題ということもある。が、負担を減らす解決策として導入されたセルフレジが、逆に店舗側の負担や混乱を増やすといった悩ましい事態に。なにも欧米諸国に限った問題ではないことを思うと、この先、日本でのセルフレジ拡大ははたして続くのだろうか。セルフレジ導入のメリットをいま一度考えるときに来ているのかもしれない。