ダーウィンが「無神論者!」と罵られても「進化論」を唱え続けた悲しい理由
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
チャールズ・ダーウィンの『種の起源』が出版された日
宗教や信仰が、科学と同じ、またはそれ以上に信頼たるものとして語られていた時代、この世に息づくすべての生命は、創造主たる存在──“神”によって生み出されたとされてきました。
「虫も花も、鳥も魚も、そして人間も、すべては神がそれぞれに役目を与えて、この世界に産み落としたもの」だと。
1859年、イギリスの自然科学者であるチャールズ・ロバート・ダーウィンは、約5年間にわたって木造帆船・ビーグル号で世界中をまわり、各地の動植物や地質を調査。そこで得た研究結果をもとに、11月24日、ある本を出版します。
『種の起源』。
イギリスの行政の一部をキリスト国教会が取り仕切っていた時代。生物の誕生と進化のメカニズムを科学で証明しようと試みたこの書と著者であるダーウィンは、主に聖職者たちから“敵”と見なされて非難を浴びます。
しかし、ダーウィンには「命は神が司るものではなく、生物としての自然現象のひとつである」と信じるに至った大きなきっかけがありました。
溺愛した長女の死です。
献身的に介護し、熱心に神に祈りを捧げたにもかかわらず助からなかった10歳の娘の死という現実を、自然の摂理として説明づけることで、自身を納得させようとしたのでした。
理由はどうあれ、ダーウィンが提唱した“進化論”は、その後の自然科学というジャンルに大きな影響を与え、現代のさまざな研究の礎を築いたといっても過言ではありません。
失われた命をきっかけに解き明かされた、生命の循環。なんとも皮肉な輪廻(りんね)ではありますが、社会とは、そんなものの上に成り立っているものなのかもしれません。