情報リテラシー教育は 「民主主義のワクチン」となり得るか?
「地球平面説」「ワクチン陰謀論」……。 一昔前まで、陰謀論は一部の人々に信じられている、突飛な考えとして認識されていた。 しかし、インターネットそしてSNSの普及により、状況は一変。 真偽不明な情報が溢れかえり、誰でも簡単に発信、拡散できる現代社会において、陰謀論はもはや、私たちにとって身近な脅威になりつつある。
8割の若者が触れる「陰謀論」
その半数以上が信じる現実
アメリカの非営利団体「News Literacy Project」が2024年10月に発表した調査結果は、衝撃的なものだった。 なんでも、アメリカの10代の若者の80% が「少なくとも週に1度はソーシャルメディアで陰謀論を目にしている」と回答。 さらに、陰謀論を目にしたことがあると回答した10代の81% が「少なくともそのうちの一つは信じている」と回答した。
同調査では、頻繁に目にする陰謀論の具体例として、「2020年のアメリカ大統領選挙が不正に操作された」「新型コロナウイルスのワクチンは危険である」「地球は平らである」などが挙げられている。
「フェイクを見抜く」をスキルに
加速する情報社会で生き残るには……
問題は、陰謀論への傾倒だけではない。同調査では、10代の45% が「報道機関は民主主義を保護するよりも害を及ぼすことが多いと思う」と回答。 さらに、80%の若者が「報道機関の情報は他のオンラインコンテンツ制作者の情報と比べて、公平性が高いとは思わない」と回答している。
この結果は、私たちに重要な示唆を与えてくれる。 それは、情報過多な現代社会において、情報を取捨選択し、その真偽を見極める「リテラシー」の重要性が、これまで以上に高まっているということだ。
情報リテラシー教育は
「民主主義のワクチン」となり得るか?
希望の光もある。 「News Literacy Project」の調査によれば、メディアリテラシー教育を受けた経験を持つ10代の若者は、そうでない若者に比べて、誤った情報に惑わされにくい傾向が見られた。たとえば、実在の人物とAIによって生成された人物の画像を見分ける能力や、オンライン上で展開される誤情報に対して、適切な対応をとる傾向が高かったという。同調査で、10代の若者の94% が「学校でメディアリテラシー教育を受けるべきだ」と回答している点は興味深い。 若者たちは、溢れかえる情報に戸惑いながらも、情報を見抜く力を求めている。
情報リテラシーは、現代社会を生き抜くための必須スキルと言えるだろう。 情報に翻弄されることなく、主体的に情報を収集し、分析する力。そして、その情報が「誰が、どんな意図で発信しているのか」を見極める力。その力はきっと、私たちがより良い未来を創造するための、たしかな羅針盤となるはずだ。
👀GenZ's Eye👀
編集され、計算し尽くされたTVやCMばかり観たり、ある一人の意見に全面的に賛同したりすれば、思想が偏るのは避けられない。メディアリテラシーの欠如を指摘されても、「これが正しい」と断言することは、実際かなり難しいのが今の時代。偏った情報を鵜呑みにしないためには、自ら積極的に多様な情報源を探り、幅広い視点を得ることが重要ではないだろうか。