オランダの「回転率の悪いレジ」が好評のワケは?

新しく導入されたレジ、と聞けば「自動決済」や「無人販売」といったデジタルを駆使した効率・便利さ重視のものが思い浮かべるはず。

ところが、最近話題になっているオランダのスーパー「Jumbo」にあるレジは、その真逆。「めちゃくちゃ回転率が悪い」ことが取り柄らしい。

……レジなんて並びたくないし、効率重視の現代人からすると、皆目意味がわからないような取り柄だけど(笑)、これには心温まる理由があった。

というのも、そのレジは「世間話をするため」のもの!

© 2016 Jumbo Supermarkets

200以上の店舗に導入された「Kletskassa」は、会計をしている間、店員と客がのんびり世間話をしながら過ごすためのレジ。

現代の多くの人が感じている世界のデジタル化、さらには新型コロナウイルスの影響もあって、最近では“孤独”を感じる人が多くなってきている。

とくに高齢者のあいだでは、孤独が問題視されており、75歳以上の高齢者が130万人もいるオランダでは政府主導で防止政策に乗り出しているそうだ。

Kletskassaもその一環で、スーパーを「地域の交流の場」として捉えているJumboらしい解決策というわけだ。

現代病の孤独に対し、もっとも単純で、ある種古典的なアイデアで解決を試みるJumbo。効率重視の現代においてはとてもユニークだけど、レジと“スーパーそのものの価値”を提案しているとも言える。

レジは好評らしく、Jumboでは他にも近所の人との交流スペースや地域サポートのマニュアルを作ったりもしているそう。

ただ買い物をするだけじゃない、新しくも懐かしいスーパーの価値。地域から愛され、地域を愛するスーパーの姿はぜひとも見習いたいものだ。

高齢化の進む日本でも参考になるはず。この先、同じように和やかな光景が日本でもみられることに期待したい。

Top image: © 2016 Jumbo Supermarkets
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