元祖はどっち?「バターチキン発祥」を巡りインドで裁判勃発

北インドの定番カレー「バターチキン」。たっぷりのバターと濃厚なトマトを使ったクリーミーな味わいは日本でも大人気だ。もちろん本場インドでも、世代問わず長年愛されている。

そんな超ヒットメニューを巡り、首都デリーにある2つのレストランが法廷で争う事態となっている。両者、「バターチキンの元祖を名乗る権利がある」と主張。世界中でよく起こる「発祥論争」、インドでもまたひとつ……。

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さて今回、この訴訟を起こしたのは、オールドデリーに位置するレストラン「モティ・マハル」。インド初代首相をはじめ、世界各国の著名人が来店したことでも知られる老舗で、インドで一度は訪れたい“人気スポット”だ。

そんな名高いレストランを代々経営する一族が、バターチキンの発祥は「モティ・マハル」であると主張する。

対してルーツを主張するもう一店が「ダリヤガンジ」。ニューデリー周辺に7店舗もの店を構える比較的新しい店だ。

まず「モティ・マハル」側の根拠はこう。

1930年代、パキスタンにて、当時の同店オーナーであるKundan Lal Gujral氏が、余ったタンドリーチキンを効率的に消費するために創作したのがバターチキンの始まりだという。その後、インドとパキスタンが分離した1947年に、レストランごとデリーに移転し今日に至る。

続いて「ダリヤガンジ」の主張を紹介しよう。

どうやら、現「ダリヤガンジ」店主の祖先であるKundan Lal Jaggi氏は、80年ほど前「モティ・マハル」がまだパキスタンにあった時期に、シェフとして一緒に働いていたという。彼がそこで働いているときにバターチキンが発明されたとのこと。よって、そのときのレシピを受け継いだ彼らもまた、バターチキンの元祖と名乗る権利があると訴えた。さらに、2018年に商標登録をしたと主張している模様。

これを受け「モティ・マハル」創業者の孫であり現店主のMonish Gujral氏は、「The Guardian」誌面にてこう強調した。

「人の遺産を奪うことは誰にもできません。この料理は私たちの祖父がパキスタンにいたときに発明されたものなんです」

バターチキンの元祖としての権利を求めるとともに、「ダリヤガンジ」に対し24万ドルの損害賠償を求めている。

同誌によると、インドの法廷の進行が遅いようで、バターチキンの発祥問題は今後数ヵ月、あるいは数年後も解決されないかもしれないとのこと。

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ちなみに筆者も「モティ・マハル」を訪れたことがある。それもつい先日、せっかくインドに来たならということで友人たちと。

例のバターチキンを食べたわけだが、圧巻の味わいに一同大絶賛だった。「最後の晩餐にしたい」の声まで。それまでの旅の道中、各地で多様なインドカレーを味わってきたが、やはり「モティ・マハル」のバターチキンが最古にして最強と思えてしまったわけ。

今回の発祥論争の結末がどうであれ、両者とも“同じバターチキン”を指しているのには変わりない。日本でも馴染み深い王道カレー、インドに行ったらぜひ一度、どちらの「元祖」も味わってほしいものだ。

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