エド・シーランの呪縛と「OSAMU GOODS」のはなし

2024/05/30

TABI LABO編集部

サウナ大好き作家・岩田リョウコさんと、サウナをこよなく愛する女優・清水みさとさん。

ふたりがどのようにサウナを日常に取り入れ、どんなサ活を楽しんでいるのか。気になりますよね？そこで、ふたりのサウナな日々を「交換日記」に綴ってもらいました。

今回は、リョウコさんからみさとさんへ──。

岩田リョウコ

文筆家、イラストレーター。アメリカ在住中に出版したコーヒー本『COFFEE GIVES ME SUPERPOWERS』が全米ベストセラーに。世界5ヵ国で翻訳出版されている。サウナ愛好家でサウナ・スパ健康アドバイザーの資格を持つ。著書に『週末フィンランド』、『エンジョイ！クラフトビール』、『コーヒーがないと生きていけない！』、『HAVE A GOOD SAUNA! 』『ちょっとサウナ行ってきます』。近著に『直訳やめたら英語が一気にできるようになった私の話』。
SNS：@ilovecoffeejp

みさとちゃんへ

この前の日記でアメリカに住んでいた時のことを忘れてしまっていると書きましたが、アメリカにもういないのでアメリカでの思い出を話す相手があまりいないから忘れていくんですよね。

そんな中、シアトル時代の同僚と久々に再会しました。

わたしが赴任したのはアメリカのワシントン州にある、在シアトル総領事館。ちなみに、大使館はそれぞれの国で一つしかありません。でも国が大きすぎるとひとつの大使館だけでは広範囲をカバーできないし、居住している日本人がパスポートの更新や書類をもらいにいく時などに飛行機に乗って行かなきゃいけない。だから、大使館と同じ役目をする「領事館」がいくつかあるんです。アメリカの日本大使館はワシントンD.C.に。そしてアメリカ本土の領事館は全部で13あります。シアトルはそのひとつです。

真ん中の緑が国の仕事用のパスポート©岩田リョウコ

シアトル総領事館に赴任してきた中でわたしは一番の若造。大使館や領事館はいろんな省庁からきた人たちで構成されていますが、わたしは外務省付けでしたが公務員ではなかったので、ちょっと部外者っぽい感じでした。ただ、同時にキャリアや政治的なところを気にしなくて済む立場だったので、実は心地よく部外者でいつづけていました。

スーツを着てちゃんと仕事してた時代©岩田リョウコ

わたしが属していたのは「広報文化班」。日本語教育の専門調査員として赴任したので、仕事のほとんどが現地教育機関の先生たちや、日系コミュニティの人たちと関わることでした。なので、地外法権で完全に「日本」が貫かれている、ちょっと閉鎖された領事館に勤務しながらもわたしはその扉の外側で、しっかり「アメリカ」にいられたので、今でもずっと続く友人たちができたことは、ラッキーだったなって思っているところです。

オフの日は完全に別人。ちなみにこちらジミ・ヘンドリックスもシアトル出身©岩田リョウコ

そんな中でも、班は違えど個人的にとても信頼していたのが久々に再会したこの元同僚でした。家族ぐるみで仲良くしてくれていて、あの時アメリカで小学生だった息子さん、娘さんはなんともう大学生！わたしも彼らも帰国してしっかり日本に馴染んでいる状態です。

そして、そんな元同僚にずっと謝りたいことがありました。

コロナ禍よりもっと前、一度エド・シーランのコンサートに誘ってもらった時のこと。わたしはエド・シーランに特に興味はなかったのですが、結構いい席のチケットをとってくれていて、数万円したんですよね。それで「わたし、エド・シーランの曲ほとんど知らないレベルなのに、こんな高いチケットで行くんだ……」的なことを言ってしまったんです。

結果、行ってすごく楽しくて、「エド・シーラン、すっげー！」と感動して帰ってきた訳ですが、それ以降、テレビやネット、広告、雑誌、あらゆるところでエド・シーランを見かけるたびに、あんな言い方しなきゃよかったなぁと「エド・シーラン＝わたしの悪態」の方程式ができあがってしまったのです。