エド・シーランの呪縛と「OSAMU GOODS」のはなし

サウナ大好き作家・岩田リョウコさんと、サウナをこよなく愛する女優・清水みさとさん。

ふたりがどのようにサウナを日常に取り入れ、どんなサ活を楽しんでいるのか。気になりますよね？ そこで、ふたりのサウナな日々を「交換日記」に綴ってもらいました。

今回は、リョウコさんからみさとさんへ──。

みさとちゃんへ

この前の日記でアメリカに住んでいた時のことを忘れてしまっていると書きましたが、アメリカにもういないのでアメリカでの思い出を話す相手があまりいないから忘れていくんですよね。

そんな中、シアトル時代の同僚と久々に再会しました。

わたしが赴任したのはアメリカのワシントン州にある、在シアトル総領事館。ちなみに、大使館はそれぞれの国で一つしかありません。でも国が大きすぎるとひとつの大使館だけでは広範囲をカバーできないし、居住している日本人がパスポートの更新や書類をもらいにいく時などに飛行機に乗って行かなきゃいけない。だから、大使館と同じ役目をする「領事館」がいくつかあるんです。アメリカの日本大使館はワシントンD.C.に。そしてアメリカ本土の領事館は全部で13あります。シアトルはそのひとつです。

シアトル総領事館に赴任してきた中でわたしは一番の若造。大使館や領事館はいろんな省庁からきた人たちで構成されていますが、わたしは外務省付けでしたが公務員ではなかったので、ちょっと部外者っぽい感じでした。ただ、同時にキャリアや政治的なところを気にしなくて済む立場だったので、実は心地よく部外者でいつづけていました。

わたしが属していたのは「広報文化班」。日本語教育の専門調査員として赴任したので、仕事のほとんどが現地教育機関の先生たちや、日系コミュニティの人たちと関わることでした。なので、地外法権で完全に「日本」が貫かれている、ちょっと閉鎖された領事館に勤務しながらもわたしはその扉の外側で、しっかり「アメリカ」にいられたので、今でもずっと続く友人たちができたことは、ラッキーだったなって思っているところです。

そんな中でも、班は違えど個人的にとても信頼していたのが久々に再会したこの元同僚でした。家族ぐるみで仲良くしてくれていて、あの時アメリカで小学生だった息子さん、娘さんはなんともう大学生！わたしも彼らも帰国してしっかり日本に馴染んでいる状態です。

そして、そんな元同僚にずっと謝りたいことがありました。

コロナ禍よりもっと前、一度エド・シーランのコンサートに誘ってもらった時のこと。わたしはエド・シーランに特に興味はなかったのですが、結構いい席のチケットをとってくれていて、数万円したんですよね。それで「わたし、エド・シーランの曲ほとんど知らないレベルなのに、こんな高いチケットで行くんだ……」的なことを言ってしまったんです。

結果、行ってすごく楽しくて、「エド・シーラン、すっげー！」と感動して帰ってきた訳ですが、それ以降、テレビやネット、広告、雑誌、あらゆるところでエド・シーランを見かけるたびに、あんな言い方しなきゃよかったなぁと「エド・シーラン＝わたしの悪態」の方程式ができあがってしまったのです。

エド・シーランの呪縛から離れたいことと、楽しい思い出をくれたのに悪態をついてしまったことをどうしても謝りたくて、久々に会った時に思い切ってその話をして謝りました。

すると、元同僚は「チケット取った覚えはあるけど、そんなこと言われたっけ？覚えてないよ」と。

もしかしたら覚えてたけど、わたしが真剣に謝っていたから忘れたふりをしてくれたのかもしれない。でも、わたしには何年もずっと自分が言ったことが呪縛のようになっていたのに、向こうにとってはそうではなく、嫌な思いをさせてなかったとわかってホッとしました。

みさとちゃんの言うように忘却はいいことも悪いこともあって、逆に忘れられずにずっと頭に残っちゃうことも同じようにいいこと、悪いこと両方あるんですよね。

エド・シーランの呪縛が解けてその足で向かったのは、「渋谷SAUNAS」。

その日発売の「OSAMU GOODS（オサム・グッズ）」とSAUNASのコラボグッズをゲットしに。みさとちゃんのお使い分もしっかりゲットしました！

どこかずっと心の中に漂っていた後悔を“成仏”できて、この日のサウナは良い風が吹く渋谷の夜空で浮いているような気持ちよさでした。

学び：「ありがとう」と「ごめんなさい」は、早めがいい！

『渋谷SAUNAS』

【住所】東京都渋谷区桜丘町18-9
【営業時間】8:00〜24:00（不定休）
【公式サイト】https://saunas-saunas.com/