世界中で出回る「ニセモノの日本酒」に待った!

近年、日本酒の人気が海外にまで及んだことで、偽造された“ニセモノ”が多く出回るようになったそうだ。2013年には中国・上海市で「菊正宗」や「久保田」といった高級日本酒の偽造ラベルが作成され、それを空き瓶に貼って安酒を詰めて販売するという事件も発生している。

中国ほど露骨ではないが、日本でも本来は米と米こうじのみで醸造しなければならない純米酒に、醸造アルコールを加えていたことが複数の酒蔵で発覚したことも。ほかにも、高級日本酒の空き瓶の中身だけが入れ替えられているケースも海外で多発しているが、これまでは消費者も製造者もそれを判別する方法がなかった。

原産地の特定はもちろん
偽造販売業者への警告も可

だが、最新のバイオ技術を用いることで、ピンポイントで原産地の特定ができるようになった。

日本初の快挙を成し遂げた日本流通管理支援機構は、本来ダイヤモンドの産地鑑定で用いられるサービス「産地の証印」を応用。水や米などの原料を分子レベルまで解析し、オリジナルと一致するかを鑑定したという。

以下、その様子を以下のグラフとともにご紹介。実際の鑑定には新潟、群馬、京都で作られた3銘柄を、製造年月日間違いで計9本を用意したそう。

©JDMSO
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図にプロットされた緑が京都産、オレンジが新潟産、水色が群馬産と区域が分類されている。もし、偽造品が混ざっていれば、図中のまったく違う場所にプロットされるらしい。これによって、すぐに偽造品だと判断できるという仕組みで、最終的にはどこの酒蔵で作られたものかまで特定することに成功したという。

産地の証印」によって、DNA鑑定では産地を証明できなかった日本酒を“ホンモノ”だと証明できるようになった。同技術は日本酒のほかにもコーヒーやワイン、アワビ、肉類などの食品で鑑定実績があり、ほかにも鉱物、金属、レアメタルなどの原産地証明にも活用できるらしい。さらに、偽造と思わしきものはラボで解析し、偽造品販売業者を特定して取引を停止させることも可能だという。

ジャパンメイドのプロダクトを守るという観点もそうだが、よりクリーンな世界への、大きな一歩になるかもしれない。

Top image: © Yuzuru Gima/Shutterstock.com
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。