「水鉄砲」から「リアルな拳銃」へ。Xの絵文字変更の背景に潜むもの
Xユーザーのみなさん。お気づきですか?
いつの間にか銃の絵文字が「水鉄砲」から、「リアルな拳銃」の絵文字に変更されていることを……。
とはいえ、日頃から使用機会が限りなく少ない(であろう)拳銃の絵文字。変わったことさえ気づかない人がほとんどなはず。けれど、この“なんてことない絵文字の変更”のウラには、いま世界中に広がる文化戦争が潜んでいることを知ってほしいのです。
絵文字変更の裏に潜む「文化戦争」
じつはこの絵文字の変更、2024年7月18日のアップデートからすでに適用されていたようです。さらにその後、アップデートにより登場した米コルト・ファイヤーアームズ社製「M1911」は、8月15日、シルバーメタリックな拳銃に再度変更されたようなのです。変更理由は明らかにされないままに。
遡ること2016年、アップル社は当時アメリカで度重なり発生していた銃乱射事件をはじめとする銃被害が増加したことへの配慮から、絵文字にあった拳銃を水鉄砲へと変更した経緯があります。この変更に、「マイクロソフト」「Google」そして「X(当時はTwitter)」など各プラットフォームが追随。現在でも絵文字の中に水鉄砲が存在します。
実のところ、日本で最初に絵文字が誕生した黎明期から銃の絵文字は存在しました。それが近年、「絵文字の世界では文化戦争が頻発している」とEmojipedia編集長Keith Broni氏が指摘するように、たんなるアイコンとしての捉え方だけではない、大きな影響力を絵文字が持ち始めているようなのです。今回の変更も、ここ数年でもっとも注目に値するアップデートとBroni氏は見ているようです。
さて、これまでもかなり自由主義的なものと批評されてきたXのCEOイーロン・マスクの思想ですが、今回の絵文字変更もX上でのコミュニケーション制限を少しでも減らしたいといった狙いがあったでしょうか。意図するところは定かではありません。
けれど、絵文字が現実の脅威と結びつけられたり、過去には銃の絵文字を使用したことで逮捕や訴訟が発生したケースもあります。コミュニケーションの一環として、絵文字機能のはたす役割は皆が知るところ。水鉄砲からリアルな拳銃へとデザインが変更されたことで、暴力的な意味合いが強調されるというリスクを懸念する声もあります。
たかが絵文字、されど絵文字──。いつの頃からか絵文字のデザインが社会的・文化的議論を呼ぶアイコンとして捉えられるようになってしまった。この現実をアナタはどう思いますか?
最後となりますが、絵文字が“争い”を生むのではなく、争いに“抵抗”するアクションとして絵文字が活用された好例をご紹介したいと思います。ぜひ、こちらもご一読ください。