音を立てない「サイレント・レビュー」が海外で大流行!共感を呼ぶ“無音ならでは”の理由とは

オンラインで何かを購入する際、それが本当に良い選択なのか戸惑ってしまう……そんな時に頼れるのが、レビューや解説の動画。

YouTubeやTikTokなどで多くの人が参考にしているかと思うが、その裏にある、レビュアーの「表情」に注目したことはあるだろうか?

最近、海外のTikTok界隈で注目を集めているのが「Silent Review(サイレント・レビュー)」と呼ばれる新手のレビュー動画だ。

この新たなトレンドは、ブックレビュー系TikTokerのStephReadsAlot(@stephreadsalot)によって始まったもので、本の評価を表情や手振りのみで行うという動画である斬新さと共感性を兼ね合わせたスタイルが、様々なジャンルで爆発的な人気を博している。

stephreadsalot / TikTok

サイレント(無音)であることの魅力

サイレント・レビューの魅力は「無音」であること。

表情は言葉を超え、幅広い世代や文化圏に対して、感情や意図を伝えることができる。具体的な説明や言葉がないことで、視聴者はレビュアーの表情や仕草に共感し「直感的に」商品の良し悪しを判断することができるらしい。

またこの手法は、ネタバレ防止という点でも魅力的だ

最初に始めたStephReadsAlotが本のレビューに使ったことからも分かる通り、小説やドラマ、アニメなどのレビューにおいて、言葉が一切ないお陰で必然的にネタバレを防止できるのだ。

@janyias_bookjournal I LOVE these videos so i decided to hop on the trend📚. #silentbookreviews #fyp #booktok ♬ original sound - BookTalkWith_Janyiaa
janyias_bookjournal / TikTok

また、サイレント・レビューが特に流行ったのが美容系の動画だったことも興味深いところ。

スキンケアやコスメ系のアイテムを評価する動画が大流行したのだが、実はこの分野が人気だったのは、完全な「サイレント」ではなかったこと。

というのも、爪で容器をカタカタと鳴らす仕草や、内容の触感を楽しんでいる様子を含んだASMR的な要素を含んだコンテンツへと進化しているのだ。洒落たパッケージやクリームをはじめとする美容具は元々ASMRで使われることの多い小道具であり、自然な流れでレビューのトレンドに乗れたようだ。

itsdajaasmr / TikTok

国境を越え、日本人にも通じるコンテンツ

日本では「顔芸」が広く親しまれていたり、お笑いのジャンルにも「サイレント」がある。

モノマネでも細かい仕草や表情がウケにつながったり、意識せずとも、日本人は言葉を通さずに共感する性質が強いのかもしれない。ASMRなど海外で流行ったものとは毛色が異なるかもしれないが、エンタメとしてのポテンシャルは十分にあるはずだ。

最近はポッドキャストやASMRなど「音声」に焦点を当てたコンテンツの発展が顕著になってきている一方、サイレント・レビューはこれらと反対に「視覚」に焦点を当てたエンターテインメントだと言える。

この新たな領域の発展によって、表情や身振りがストーリーを伝達する新時代が幕を開けるのかも知れない……

Top image: © iStock.com/Erdark
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。