AI生成音楽を使って不正に儲けた男が初めて逮捕。その判決は……

米ノースカロライナ州在住の男性が、AI生成音楽ストリーミング詐欺をめぐる初の刑事事件で逮捕・起訴された。注目の判決は……最高20年の懲役刑。

止まらないAI生成技術の悪用
ついに警察も本格始動

逮捕されたマイケル・スミス(52)は、AI技術の助けを使って数十万もの楽曲を生成。それらを「YouTube」や「Spotify」といったストリーミングプラットフォームに配信し、自身が開発したボットアカウントを使って継続的に再生することで、合計1000万ドル(約14億円)以上を不正に儲けたとして告発されている。

現在スミスは、通信詐欺や共謀、マネーロンダリングの罪に問われており、それぞれすべてが有罪判決を受けた場合は、最高60年の禁錮刑につながる可能性があるとのこと。

しかし、AI音楽ストリーミングにおける悪質行為は、当然ながら今に始まったことではない。2017年にSpotifyにて初めて発覚した「ストリーミング詐欺」と呼ばれる手法は、まさしく今回と同様。当時からSpotifyでは、再生が1回とカウントされるために30秒以上の再生が必要であった。そのため、詐欺を行う者たちは30〜40秒という非常に短いトラックを大量作成し、これらをボットで無限に再生するという手法で荒稼ぎしていたという。

あいにく刑事事件にまで発展せず、アルゴリズムの改善や不正再生の検出など、Spotify側が独自に対応を強化したことで落ち着いたそうだが……2024年においてはもう許されることではない。

今年4月にはSpotifyがアーティストに対するロイヤリティルールを大幅に変更するなど、AIによる詐欺行為を本格的に取り締まる動きが見られている。今後もAIの用途を巡って攻防が続くことが考えられるが、著作権を守りながら正当に収益を得るクリエイターが優遇されていくことを願うばかりだ。

Top image: © iStock.com/Menno van Dijk
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