来年のグラミー賞に「AIの音楽」は現れない、CEOが言及
音楽業界でAIの功績が称えられるかどうか、という問題が浮上している。
「ザ・レコーディング・アカデミー」のCEOハーヴェイ・メイソンJr.氏は、グラミー賞では、AIによる創造性を表彰しないことを明言した。ただし、AIを使用するクリエイターを除外するわけではないという。
メイソン氏は「もしAIが歌っていても、人間が作詞した場合は作詞のカテゴリーで受賞の対象となります。また、もしAIが作詞した場合でも、人間の歌手が歌っている場合はパフォーマンスのカテゴリーで受賞の対象となるでしょう」と説明。
AIが関与した楽曲であっても、上記2つのいずれかに該当すれば、受賞の対象となるようだ。
これらの新たな規定は、謎のアーティスト=通称「ゴーストライター」が『Heart on My Sleeve』という楽曲をグラミー賞の選考に提出したことを受けて発表された。この楽曲は、シンガーのドレイクとザ・ウィークエンドの声を、AIが模倣して制作されたものだ。
メイソン氏は以前、『The New York Times』に対し「この曲は人間によって作られたので、年間最優秀賞のような“クリエイティブ”カテゴリーで受賞対象となる」と発言していた。
しかし、先日自身のInstagramに投稿した動画の中で「この楽曲はボーカルが合法的に入手されておらず、レーベルやアーティストの承認を得たものでもなく、商業的にも利用できないため対象外だ」と、前言を撤回した。
いまや音楽とAIの関係を完全に否定するのは困難だ。
音楽配信会社「Ditto」による最近の調査によると、独立したミュージシャンのうち60%が既にAIを使って楽曲制作をしているという結果が出たそう。
メイソン氏は、「これらの事象は今、非常に速く進行しています。私たちはアワードのカテゴリーや手続き、プロセス、組織全体において変革する必要があるのです」と述べ、この規定がすぐに変わる可能性があることも示唆している。
極論ですが、もしAIが世界中の人を感動させる音楽を作ったら、それは本当の意味で「素晴らしい音楽」なのでは?そして「素晴らしい音楽」こそ表彰に値するのではないでしょうか。
音楽の意義ってなんだろうと考え直すきっかけを、AIは私たちに与えてくれているのかも知れません。