AIインフルエンサーが歌手デビューしたらこうなった。
AIが音楽を生成する時代──。音楽業界はいま、大きな転換点にあるのかもしれない。
そんななか、新たなニュースが飛び込んできた。
バーチャルインフルエンサー「ヌーヌーリ(Noonoouri)」が「ワーナー・ミュージック・セントラル・ヨーロッパ」とレコード契約し、デビューシングル『ドミノズ(Dominoes)』をリリースしたという。
「ヌーヌーリ」って何者?
「ヌーヌーリ」について知らない人のために、まずは簡単な彼女のプロフィールをご紹介。
身長は150cmと小柄。人間離れした大きな瞳とつんと澄ました顔が特徴的な彼女は、よくいるリアル系バーチャルインフルエンサーとは一線を画している。
ヴィーガン(完全菜食主義)かつファーフリー(毛皮反対)と、はっきりした思想を持ち、まるで現代を生きる人間のような一面も。さらに地球温暖化やロシアのウクライナ侵攻などの国際問題にも言及しているようだ。こうした問題意識の高さが、ファンの共感を集めているのだろう。
ファッション界を席巻
2018年から活動を開始したヌーヌーリ。彼女を制作したクリエイターの豊富なファッション知識を活かし、インフルエンサーになったという。これまで「ディオール」や「ヴァレンティノ」、「ミュウミュウ」といった有名ブランドの服を着こなし、中国版『VOGUE』の表紙にも抜擢された。実在するスーパーモデルにも劣らない活躍ぶりだ。
どんな歌声なの?
そんな彼女が、ファッションの枠を超えてこの度メジャーデビューを果たした。プロジェクト開始から2年の準備期間を経て、ようやく実現したのだそう。ちなみにワーナー・ミュージックでバーチャルインフルエンサーの歌手は、史上初だとか。
ワーナー・ミュージックも惚れ込む彼女の歌声がこちら……。
歌声を聴くと、「なんだか機械音っぽい」と感じるかもしれない。
が、それもそのはず。人間の声を元にAIを使用して生成されているという。一方、楽曲自体はすべて人間の手で制作されているんだそう。“AIっぽい声”と“人間のクリエイティブ精神”が手を取り合った結果、耳に残るなんとも新しい曲が完成した。
SNSの反応は……
シングルリリースに合わせ、フィットネス系インフルエンサーのパメラ・レイフ(Pamela Reif)とのコラボ動画を公開。『ドミノズ』を流しながら、二人でエクササイズをする様子を披露している。
しかしインスタグラムのコメント欄には、「不気味」「本物の人間とコラボして」など否定的な意見もみられた。実在しないインフルエンサーとのコラボに戸惑う声も少なくないようだ。
音楽シーンにAIが使用されるようになったことで、著作権や使用範囲が問題となっているが、AIの今後には聴き手がどれだけ受け入れられるかが大きな鍵になってくるだろう。広く一般に浸透するか、それとも一部の人のためだけの音楽になってしまうか……。ヌーヌーリの今後に注目したい。