【広告が映し出す未来】とある「広告」が、世界から姿を消し始めている
スマートフォン、街頭のポスター、テレビCM……企業は商品やサービスをアピールするため巨額の費用をかけて広告を作り出し、私たちは日々それら無数の広告に接触して暮らしている。
そんななか、ある広告が全面的に禁止されようとしている。対象は、地球温暖化の要因とされる「化石燃料」だ。
なぜ化石燃料広告はNGに?
2025年、オランダのハーグ市で施行される条例が世界的な注目を集めている。それは、ガソリン車、航空会社、クルーズ船など、CO2排出量の多い企業の広告を全面的に禁止するというものだ。
これは世界で初めての試みであり、背景にあるのは地球温暖化に対する危機感の高まりだと「The Guarudian」は論じている。「化石燃料広告は、環境に配慮した行動を阻害する可能性がある」という懸念から、規制を求める声が強まっていたとも。
広告は、未来を創る鏡
「環境保護」と「表現の自由」の狭間
興味深いことに、同様の動きは世界各地に広がりを見せている。例えばイギリスのエジンバラ市議会では、今年5月に市議会所有の広告スペースにおける化石燃料企業の広告を禁止する合意が成立した。
これらの動きは、私たちに「広告は、どんな未来を映し出すべきか?」という重要な問いを投げかける。それは環境問題への意識が高まる現代において、人々の価値観やライフスタイルに影響を与える広告の役割が、これまで以上に重要になっているとも言えるのではないか。
もちろん、化石燃料広告の禁止には企業の表現の自由を巡る議論も存在する。企業は消費者に自由に訴求する権利を持つべきだという意見も根強い。しかし、もしもあなたの街の風景から、環境負荷の高い製品の広告が消え去ったら?環境に優しい商品やサービスの広告が増え、それが人々の購買行動を変え、持続可能な社会の実現を後押しするとしたら……?
ハーグ市の挑戦は、広告の持つ影響力の大きさを改めて私たちに突きつけている。それは、未来をより良い方向へ導くための「powerful」なツールとなり得るのかもしれない。
👀GenZ's eye👀
広告は呪文のように繰り返され、私たちの網膜や脳内にこびりつく。とくに幼少期に流れていた広告は、音や色でなんとなく覚えており、不意に耳にすると懐かしい記憶が蘇ったりするもの。今回のような動きがスタンダードとなっていけば、次世代の子どもたちはいずれ「化石燃料関連の広告は、親世代の古いCM」と考えるようになるのかもしれない。