「illy」が仕掛ける、デジタル時代の「香り」の届け方
イタリアの老舗コーヒーブランド「illy(イリー)」は、1933年の創業依頼、最高品質のコーヒーを追求し続けてきた。そして今、デジタルの世界へと踏み出し、新たな“コーヒー体験”を始動させる。
創業1933年、illyの挑戦
デジタルコンテンツ「Coffee break」
TikTok、Instagram、YouTube Shortsといったプラットフォームを通して、世界中のコーヒー愛好者にアプローチするデジタルコンテンツシリーズ「Coffee Break」が始動。
「illy North America」CEOジャック・エドワーズ氏は、Coffee Breakの開始にあたり、リリースを通じて新たな顧客層へのリーチと米国市場でのブランド認知度向上への期待を表明している。90年の歴史を持つ老舗ブランドが、デジタルコンテンツシリーズという新たな試みによって、どのような進化を遂げようとしているのか。
著名人の日常に溶け込むコーヒー
Coffee Breakの特徴は、単なる商品紹介にとどまらない点にある。たとえばMLBニューヨーク・メッツの投手ルイス・セベリーノ、コメディアンのクロエ・トローストなど、各分野で活躍する著名人が登場し、それぞれの日常の中でどのようにillyのコーヒーを楽しんでいるのかを、ありのままの姿で伝えている。
具体的には、セベリーノ投手が母親直伝のレシピで作るモカ・ドミニカン。彼のルーツとillyのコーヒーが織りなす温かいひとときは、視聴者に深い共感を呼び起こす。また、クロエ・トローストが自家製ナッツミルクを入れたアイスコーヒーを楽しむ姿は、自分らしいコーヒーの楽しみ方を教えてくれたりも。
デジタルを通して五感を刺激する
新しいブランド体験
高品質な映像とストーリーテリングによって、視聴者をillyの世界へと誘うCoffee Break。コーヒーの香りや温かさが伝わってくるような感覚、そして、その空間が生み出す心地よい空気感……それは、デジタルを通して五感を刺激する、新しいブランド体験と言えるのかもしれない。
さらに、Coffee Breakでは、高級ホテルや人気レストラン、航空会社のラウンジなど、洗練された空間で楽しまれているillyのコーヒーにも焦点を当てる。場所を選ばずに高品質なコーヒー体験を提供するという、illyのアイデンティティを巧みにビジュアライズドするあたりもなかなかに巧者。
「共感」と「繋がり」を生み出す
デジタルマーケティングの新戦略
現代社会において、消費者は日々膨大な量の広告情報にさらされている。画一的で一方的なメッセージでは、もはや消費者の心を動かすことはできない。ということを考えたとき、Coffee Breakは、同社のコーヒーが愛される理由を、著名人たちのリアルなストーリーを通して伝えることで、共感に基づいたブランドメッセージを届けるという、この時代のデジタルマーケティングを巧みに捉えた戦略と言えよう。
デジタルコンテンツを通してillyのコーヒーの世界観や価値観に触れることで、視聴者がどうブランドとの感情的な繋がりを築いていくかに注目したい。
👀GenZ's Eye👀
老舗ブランドとしての伝統を重んじながらも、時代に合わせたマーケティングへと柔軟に同調させていこうという部分に好感が持てます。デジタル時代にどのように適応し、進化していくか。モデルケースとしてウォッチしていきたいと思います。