米「選挙マーケティング」の最前線。チョコやミントで政治参加
開票が始まった注目の米大統領選挙。
今年も候補者たちの顔写真がプリントされた多くのグッズやポスターが販売、着用され、盛り上がりを見せたが、大統領選の熱狂はそれだけにとどまらず、スーパーマーケットのお菓子売り場にも進出していたようだ。
愛国心あふれるパッケージ
描かれるハリスの肖像
大手キャンディメーカー「Nassau Candy」によると、同社は2024年米大統領選挙に立候補しているカマラ・ハリスの肖像とキャンペーンスローガンをプリントしたチョコレートバーとミントタブレットを新たに発売。「AmuseMints」ブランドから発売されたこれらの商品は、アメリカ国旗をイメージした赤、白、青のトリコロールカラーでデザインされ、ハリスのキャンペーンスローガンである「When We Fight, We Win(私たちが闘えば、私たちは勝つ)」の文字が大きく配置されている。
同社のAndrew Reitman副社長は、「今年の選挙は皆の関心の的だ。AmuseMintsの2024年選挙コレクションは、小売業者がこの会話に参加するのに役立つだろう」とコメントしている。
お菓子売り場でも、熱い選挙戦
じつはこれらの商品、すでに販売されているドナルド・トランプ前大統領のチョコレートやミントタブレットと並ぶ格好で販売されているというのが興味深い。選挙への関心の高まりとともに、商品は支持政党を表明するアイテムとして、消費者の購買意欲を刺激しているようだ。
近年のアメリカでは、Z世代を中心に、政治的なメッセージを発信する商品を購入する「political consumption(政治的消費)」の動きが活発化している。たとえば、2017年にはトランプ大統領(当時)の就任式に反対する人々が、メキシコのビールブランド「Corona」の不買運動を起こした。これは、トランプがメキシコとの国境に壁を建設すると表明し、メキシコ系移民を差別するような発言を繰り返したことに対する抗議活動の一環だった。
また、2020年には、黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官に殺害された事件をきっかけに、「Black Lives Matter」運動が広がったことは記憶に新しい。この運動を受けて、多くの企業が人種差別撤廃に向けた取り組みを表明し、関連商品の売上の一部を人種差別反対団体に寄付するなどの活動を行っている。
商品を通して意思表示をする時代へ
日本ではまだ馴染みが薄いかもしれない、これら選挙マーケティングだが、アメリカでは企業が政治的な立場を明確にすることで、消費者の共感を呼び、購買行動に繋げるケースが増えてきている。
私たちが日々何気なく手に取る商品が、じつは社会問題や政治的なメッセージと密接に関係している。そんな時代が、すぐそこまで来ているのかもしれない。