現代人にありがちなADHDの悩みは、「触覚マッサージ」で改善できる可能性が示唆
「なかなか集中できない」「落ち着きがない」──。 ADHDの症状は、勉強や仕事、人間関係など、日常生活のさまざまな場面で困難を生み出すことがある。
そこで近年、薬物療法や行動療法に加えて「触覚マッサージ」という新たな選択肢が注目されているらしい。
スウェーデン発
「触覚マッサージ」の可能性
海外の心理学専門メディア「PsyPost」が、「Complementary Therapies in Clinical Practice」に掲載された新たな研究結果を発表した。
スウェーデンの研究チームが、15歳から17歳のADHDと診断された青年14名を対象に行った臨床研究で、週に1度、約1時間の触覚マッサージを10週間継続したところ、参加者の過活動性や衝動性、さらには反抗的な行動の減少が見られたのだ。
この研究を率いたAnna-Carin Robertz氏は「思春期のADHD患者は、従来の治療法では十分に対応できない過活動性や、不注意、ストレス、睡眠障害といった課題に直面することが多い」と指摘する。同氏は今回の研究結果を受け、「触覚マッサージは薬を使わないADHDの症状管理の選択肢として、既存の治療法を補完する可能性を秘めている」と期待を寄せている。
睡眠の質向上効果も
触覚マッサージがもたらす、心身の好循環
基本的にADHDの人は「睡眠」に問題を抱えているケースも多い。今回の研究では、触覚マッサージを受けた参加者の多くが「就寝しやすくなった」と報告しており、睡眠の質向上にも効果が期待できることが判明した。
睡眠不足は、集中力や注意力の低下、イライラしやすくなるなど、ADHDの症状を悪化させる要因となりうる。触覚マッサージによる睡眠の質向上は、ADHDの症状緩和だけでなく、日中のパフォーマンス向上や、より穏やかな気持ちで過ごせることにもつながる可能性があると言えるだろう。
自分らしいADHDとの付き合い方を見つける
近年、マインドフルネス瞑想やヨガなど心身のバランスを整える方法が注目を集めている。触覚マッサージも、そうしたセルフケアの一環としてADHDとの付き合い方を模索する上で、有効な選択肢となり得ることを示唆している。
もちろん、触覚マッサージがすべての人に効果があるとは限らない。しかし、薬物療法や行動療法以外の選択肢を探している人にとって、試してみる価値はあるのではないだろうか。
大切なのは、自分にとって心地よいと感じる方法を見つけること。焦らず、自分に合ったペースでADHDと向き合っていくことが重要である。
👀GenZ's Eye👀
Z世代のADHDへの認識が、「障害」から「脳の多様性」へと変化しているように感じる。SNSでは若者たちが #ADHD などのハッシュタグを通じて特性を共有し合っていおり、ADHDの特性は「強み」として見直されつつある。マルチタスク、創造性、直感的な問題解決など、従来のデメリットがポジティブに評価され、企業も「配慮」から「才能の活用」へと視点を転換し、特性を活かせる職場環境づくりを進めている。
ただし、安易な自己診断やSNSでの過度な一般化はもっと慎重にならなけばならない。医療機関と連携しながら個々に合った支援を進めることが重要なのではないだろうか。