TikTok禁止の動きが追い風に。Z世代が注目、学生限定SNS「Connyct」

アメリカで、TikTokが禁止になるかも。デジタルネイティブ世代にとって、もはや生活の一部になりつつあるショート動画サービスだが、その利用を巡っては各国で議論が巻き起こっている。

議論の核となっているのは、主にセキュリティ上の懸念。運営会社と中国政府との関係性、そして膨大なユーザーデータの取り扱いについて、不信感を抱く声が上がっているのだ。

こうした動きのなか、学生限定SNS「Connyct」が新たな潮流を予感させる。TikTokと似たインターフェースで動画コンテンツなどを楽しめるものの、決定的に異なるのは、その「閉鎖性」にある。

「知らない誰か」ではなく
「顔の見える仲間」と繋がる安心感

Connyct」は、パーソナライズされたコンテンツフィードやプライベートチャット機能など、TikTokのような既存SNSと遜色のない機能を備えながらも、大学発行のEメールアドレスでしか登録できないという、クローズドなプラットフォームだ。

米メディア「TechCrunch」によると、同コンテンツの共同創設者兼CEOであるMatthew Berman氏は「TikTokやInstagramでは、DMに卑猥なメッセージを送ってくる不審者や、脅迫めいたコメントに悩まされる学生も多い。自分の投稿を見た親や将来の雇用主の反応を恐れる声もある」と語る。

こうした既存SNSにおける不安要素を払拭し、顔の見える仲間とだけ繋がれる安心感を提供することで、若者世代の支持を得ようとしているのだ。

© Instagram/connyctapp

大学生限定のSNSという特徴を活かすべく、「Warner Music Group」と提携。これによりユーザーが楽曲を自由に使用できるなど、コンテンツ制作の面でも進化を遂げている。

なかには、学生がコンテンツ内で収益を得られる「アンバサダープログラム」というのも。

躍進の鍵は、TikTok禁止の動きにあり

「Connyct」の登場は、まさに時代の潮流と言えるかもしれない。 なぜなら、前述した通り、近年世界的に高まっている中国系アプリへの警戒感を受け、アメリカではTikTokの利用禁止を検討する動きが加速しているからだ。

もし実際にTikTokが禁止されれば、膨大な数のユーザーが新たなプラットフォームを求めて流出することは想像に難くない。同サービスはこのタイミングを戦略的に捉えて「大学生」というニッチな市場にいち早く参入することで、ユーザー獲得を目指しているのだ。

加えて、同コンテンツの設立には、SpotifyやTikTokの成長を支えた業界のベテランBill Campbell氏も関わっており、その手腕に大きな期待が寄せられている。

大学生限定SNSは「成功の保証」がない?
Facebookの失敗から学ぶ

とはいえ、大学生限定SNSが成功への道を容易に切り開けるわけではない。 なぜなら、「Facebook」が2020年に開始した同様のサービス「Campus」が、わずか2年で閉鎖に追い込まれているからだ。

彼らの失敗は、大学生という属性だけに焦点を当てたサービスではユーザーの心を掴み続けられないことを如実に物語っている。同コンテンツが生き残りをかけた競争を勝ち抜くためには、単なるコミュニケーションツールとしての枠を超え、学生にとってより魅力的な価値を提供し続ける必要があるだろう。

とはいえ、「Connyct」の登場は、私たちに多くの示唆を与えてくれる。 それは、Z世代の価値観やライフスタイルに合わせたサービスの必要性、そして、クローズドSNSの持つ可能性だ。

今後、どのような進化を遂げ、大学生たちの「つながり」をどのように変えていくのか。その動向から目が離せない。

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。