【ダーク・ツーリズム】絶対に訪れてはいけない森「ホイアバチウ」

ルーマニアの中部に位置するトランシルヴァニア地方。そこは、アイルランドの作家ブラム・ストーカーの小説『吸血鬼ドラキュラ』の舞台として知られ、古くから吸血鬼伝説が根強く残る神秘的な地域。

そのトランシルヴァニア地方にもう一つ、世界的に有名な場所がある。「Hoia Baciu(ホイアバチウ)の森」だ。“ルーマニアのバミューダトライアングル”とも呼ばれるこの森は、数々の不可解な現象や不気味な伝説が渦巻く、まさに「世界でもっとも呪われた森」と呼ぶにふさわしい場所らしい。

©iStock.com/vio0orel

失踪事件と奇妙な目撃情報
ホイアバチウの森を取り巻く謎

英メディア「UNILAD」が報じたところによれば、ホイアバチウの森では、長年にわたり、人々の消息が途絶える事件や奇妙な現象の目撃情報が後を絶たないそうだ。ある少女は森で行方不明になった後、数年後に同じ姿で発見されたという。また、200匹の羊を連れて森に入った羊飼いが二度と戻らなかったという話もある。

こうした不可解な現象を体験した人々の中には、体調不良や精神的なショックを訴える者も少なくないらしい。森に入った後に原因不明の発疹や頭痛、吐き気に襲われたという報告や、何者かに見られているような感覚に陥ったという証言も。ホイアバチウの森は、単に怖い話を集めた場所ではなく、実際に訪れた人々に何らかの影響を及ぼしている可能性すらあるという。

©iStock.com/vio0orel

科学 vs 超常現象
謎多き森の正体に迫る

では、この森で起こる現象は、一体どのように解釈できるのだろうか。科学的に解明可能な事象と、科学では説明できない超常現象の両方の可能性を探ってみる必要があるだろう。

たとえば、一部の研究者は、森の地磁気の異常特定の植物が発する化学物質が、人体に影響を与え、幻覚や体調不良を引き起こしている可能性を指摘している。また、奇妙な光や音については、夜間に発光するキノコや昆虫、あるいは特殊な気象条件などが関係しているとも考えられる。

いっぽう、科学では説明できない現象の存在を信じる人たちにとって、ホイアバチウは格好の研究対象となっている。彼らは、森に強力なエネルギーフィールドが存在し、それが電子機器の誤作動や時間軸の歪みを引き起こしているのではないかと考えているようだ。

ダークツーリズムの隆盛
“奇怪な森”は新たな観光地となるか?

近年、世界的に「ダークツーリズム」が注目を集めている。

ダークツーリズムとは、戦争や災害など、負の歴史や悲劇的な出来事をテーマにした観光のこと。そして、ホイアバチウの森もまた、ダークツーリズムの目的地として、その名を広めつつある。また、超常現象やオカルトに興味を持つ人たちだけでなく、スリルを求める旅行者や冒険家たちの間でも、人気の観光スポットになりつつあるようだ。しかし、同時に、森の生態系への影響や観光客の安全確保など、解決すべき課題も山積している。

ホイアバチウの森は、私たちに多くの謎と課題を突きつける。科学と超常現象、恐怖と魅力、そして観光開発と環境保全。これらの要素が複雑に絡み合いながら、かの森は、今日もなお世界の人々の好奇心を魅了し続けてやまない。

Top image: © iStock.com/chainatp
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。