欧州のミネラルウォーターから、永遠に残る化学物質「TFA」が検出

健康や美容のために、日々口にする水には気を遣っている人も多いだろう。特に、"安全・純粋" というイメージの強いミネラルウォーターは、積極的に生活に取り入れている人もいるかもしれない。

しかし、そのミネラルウォーターから、人体への悪影響が懸念される有害物質が検出されたというショッキングな報告がある。

ミネラルウォーターから
「TFA」が検出

イギリスの新聞「The Guardian」が昨年12月に公開した情報によると、欧州で販売されているミネラルウォーター19種類のうち、10種類から有害物質「TFA」が検出されたという。

TFAとは、PFASと呼ばれる有機フッ素化合物の一種で、"永遠に残る化学物質(forever chemicals)" と呼ばれ、環境や人体への影響が懸念されている物質だ。

一部のミネラルウォーターからは、EUの規制基準値の最大32倍という高濃度のTFAが検出されたとのこと。この事実は、私たちが日常的に口にする水が、決して安全とは言い切れない現実を突きつけている。

あらゆる場所に存在する
TFAの拡散

TFAは、フライパンのコーティング、消火剤、農薬など、私たちの身の回りの様々な製品に使用されている。2019年から2022年に製造されたPFASの約60%は、TFAに変化するフッ素化ガスであった。

水道水やミネラルウォーターだけでなく、ベルギーでは調査した水サンプルの93%、スイスでは地下水、アメリカのミシガン州ではすべての雨水サンプルからTFAが検出されている。同紙ではこの状況を踏まえ、「もはや、私たちはTFAから完全に逃れることは不可能に近いと言えるかもしれない」と述べている。

"永遠に残る化学物質" 問題
私たちにできること

TFAは、動物実験で肝臓がんや胎児への発達障害の可能性が示唆されている。

EUではTFAを含むPFASの使用を制限する動きがあるいっぽう、アメリカでは環境保護庁がTFAを規制対象から除外するなど、対応が遅れている。日本では環境省がPFASのリスク評価を進めているものの、TFAに関する規制はまだ存在しない。

安全な水を確保するために、そして未来の子どもたちのために、私たち一人ひとりがTFAを含む有害物質の問題に関心を持ち、企業や行政に行動を促していくことが重要だ。

たとえば、環境問題に取り組むNGOや団体への支援、企業の環境配慮への取り組みを評価する「エシカル消費」などが考えられる。自分たちの健康と未来を守るため、"永遠に残る化学物質" 問題に、無関心でいることはできないだろう。

Top image: © iStock.com / SimonSkafar
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