消防士が着用する防護服。「がんにつながる」と警告。
災害や事故の現場にいち早く駆けつけ作業にあたる消防士。その彼らの身を守る「防護服」の着用回数を極力減らすよう指示が出されたという。
「国際消防士協会(IAFF)」と「都消防長会(the Metropolitan Fire Chiefs Association)」の発表によると、どうやら消防士の防護服に含まれる合成化学物質(PFAS)が原因のよう。
水や油をはじき湿気や熱にも強い。そんなPFAS(いわゆるフッ素系化合物)の特性を防護服の素材に活かしているわけだが、いっぽうで、PFASは自然環境のなかで分解されず破壊するのがほぼ不可能。人体や環境に与える悪影響が近年問題視され、「永遠の化学物質」と呼ばれている。
同団体の最高医療責任者は、肝臓がんや腎臓がんにつながる可能性があるとし、がんの他にも低出生体重や高血圧、慢性甲状腺炎などの影響も懸念されるそうだ。
こうしたリスクを考慮しての、今回の防護服の「必要なときにのみ着用」という呼びかけ。加えて、移動中もPFASを含む防護服を専用ケースやバッグに密閉し、触れた後は手を洗うようにとのお達しも。
イースト・キャロライナ大学、毒性学のJamie DeWitt教授の弁をNBC Newsが報じている。いわく、「まだPFASがどれくらい皮膚表面を貫通するか分からないが、消防士たちが健康リスクに侵される可能性は十分にある」とのこと。
過酷な環境下での作業では、汗も多くかくはずだ。
「毛穴が開いた状態だと、外部の物質を取り込みやすいこともまた事実」と彼女は付け加えている。
リスクの具体的な確率など、まだ未知数な部分は多いが、私たちを守ってくれる消防士が着用する衣類だけに、勇敢な彼らをリスクなしで守ってくれるものにアップデートされる日が1日でも早く訪れますように。