紙ストロー、実は私たちの健康を脅かす「恐ろしいモノ」だった可能性
紙ストローは、人々が期待していたほどの環境貢献を成し得なかった。
振り返ること2022年4月、深刻化する海洋プラスチック汚染などの対策として日本で施行された「プラスチック資源循環法」。
環境のためという大義名分に反発する術をもたず、突然プラストローに別れを告げられた私たちは、紙ストローという得体の知れないモノになんとか慣れてやろうと、試行錯誤を重ねてきた。
もちろん、プラストロー禁止により混乱に陥ったのは日本だけではなく、世界各地で起きていた話。サンフランシスコでは罰金制度が発足したものの、紙が分厚すぎてリサイクルできずに一般ゴミとして処分されるという、本末転倒なケースも起きていたそうだ。
そんなこんなで、日本で新プラ法が施行されてから約1年半が経過。
もう、やめない?という動きが最近現れつつある。というのも、紙ストローの飲みづらさや味の変化、効果のなさという話ではない。
なんと、紙ストローに「低レベルの永久化学物質」が含まれていることが判明したのだ。
紙ストローには、ファストフードの包装紙などに用いられる熱や薬品に強い物質「ペルフルオロアルキル物質・ポリフルオロアルキル化合物(PFAS)」が含まれているらしい。『Food Additives and Contaminants』に掲載された研究論文で明かされた。
環境中で分解するまでに何世紀もかかってしまうことから「生分解性」ではないとされ、私たちの健康への悪影響も懸念されている。
これを後押しするかのように、アントワープ大学の科学者らは、環境に優しいはずだった紙ストローがPFAS汚染に寄与している可能性を示唆。
研究に参加したポーリン・ボワサック氏は、「PFASはほぼ全種類のストローに含まれ、主に植物由来の材料から作られたものに含まれていたことが判明した」と述べており、植物由来のストローは必ずしも“持続可能な代替品”と言えないことを指摘している。
同氏は最も持続可能な代替案として、再利用が可能で尚且つPFASを含まない、ステンレス製ストローを挙げている。
たしかに説得力があり、今までのような苦い思いはせずに済みそうだ。しかし、私たちが「常時ステンレスストローを持ち歩く習慣」を身につけられるか……と考えると、あまり現実的ではない予感も。
目を背けてこのまま紙ストローを使い続けるか、他の案に切り替えるのか。はたまた、全くストローを使わないという意見さえある。
どちらにせよ、紙ストローが最適解だったか否かについては、十分検討する余地がありそうだ。