あまり知られていない、「使用済みクリスマスツリー」の意外な後日談
街中がイルミネーションで彩られ、心躍るホリデーシーズン。
そんな年末年始の主役であるクリスマスツリーが役目を終えた後、意外なかたちで環境保護に貢献していることをご存知だろうか?
ツリーが湿地帯を再生
そのメカニズムとは
舞台は米南部・ルイジアナ州。「Independent」紙によると、同州ではクリスマス使用済みのツリーが、ニューオーリンズ東部のバイユー・ソバージュ国立野生生物保護区にヘリコプターで運ばれる。目的はなんと、海岸線の保護だ。
一見すると不思議な光景だが、そこには科学的な根拠に基づいた明確な狙いがある。
湿地帯に堆積したツリーは、自然分解されるまでのあいだ、波のエネルギーを弱める効果を発揮する。草や水生植物が生える浅瀬にツリーを投下することで、波と水の流れが穏やかになり、土砂の流出を防ぐ効果が期待できるという。
この取り組みは25年以上も継続されており、その成果としてこれまでに数百エーカーにも及ぶ湿地帯の回復に成功している。
都市部の自然を守り、
生物多様性を育む取り組み
バイユー・ソバージュ国立野生生物保護区は、都市部に隣接しながら、魚、カニ、エビ、ザリガニなど、多様な生物が生息する貴重な湿地帯だ。アメリカで2番目の規模を誇る都市型野生生物保護区でもある。
同保護区では、クリスマスツリーの活用以外にも、環境保護団体や地域住民と連携したさまざまな活動が行われている。
たとえば、湿地帯の生態系を学ぶための観察会や、外来種の駆除活動などが定期的に開催されており、都市生活者にとっても自然と触れ合い、環境問題について考える貴重な機会を提供しているとのこと。
サンタが帰った後に続く
サステイナブルな取り組み
近年、世界各地で異常気象や自然災害による被害が深刻化しており、環境保護への意識が高まっている。ルイジアナ州の取り組みは、私たちに身近なものでも工夫次第で環境保護に役立てられるという気づきを与えてくれるだろう。
日本でも、クリスマスツリーのリサイクルについては、自治体やNPO団体が中心となり、さまざまな取り組みが行われている。たとえば、ツリーを細かく粉砕して堆肥にしたり、公園の遊歩道に敷き詰めたりするなど、その方法は多岐にわたる。
今年のクリスマスは、ツリーのその先にあるストーリーにも思いを馳せてみてはいかがだろうか?