コカ・コーラといえば赤、を覆す「黄色いキャップ」が意味するもの
「コカ・コーラ」といえば、誰もが思い浮かべる、あの赤いラベル。そのイメージを覆す、黄色いキャップを纏ったコカ・コーラが、世界で話題になっている。
一体なぜ、伝統的な赤色から離れる決断をしたのだろうか。その裏には、変化する社会への柔軟な対応と、企業としての強いメッセージが込められているのかもしれない。
イスラエル発、SNSで拡散された
「黄色いコーラ」の謎
英メディア「UNILAD」がSNSを中心に話題になっている、黄色いキャップのコカ・コーラについて報じている。記事によると、この黄色いキャップのボトルは、ユダヤ教の祝祭である「過越祭」に合わせ、販売されているコーシャ対応のコーラだという。
7日間限定?
「食」の伝統を守る、ユダヤ教の教え
過越祭は、ユダヤ民族がエジプトでの奴隷状態からの解放を記念する、宗教的に重要な祝祭。7日間続くこの祭りの間、ユダヤ教徒は特定の食品を口にすることを禁じられる。この禁止令に従い、ユダヤ教の戒律に従って作られた食品や飲料が「コーシャ」と呼ばれる。
コーシャの規定は多岐にわたるが、過越祭期間中は特に、小麦、大麦、ライ麦、オーツ麦、スペルト小麦などの穀物を発酵させて作った食品が禁止される。通常のコーラに含まれるコーンシロップも、この禁止令に抵触するため使用できない。
黄色いキャップのコーラは、このコーンシロップの代わりに、砂糖などの別の甘味料を使用して製造されていることを示すもの。ユダヤ教徒にとって、黄色いキャップは、過越祭の間も安心してコーラを楽しむための、大切な目印となっているわけだ。
コーシャ市場は1兆円規模
巨大マーケットを動かす「食のダイバーシティ」
近年、世界的に宗教に配慮した食品への関心が高まっている。イスラム教の戒律に則ったハラルフード市場の拡大はその一例。
コーラが特定の宗教の祭事に合わせて商品を販売していることは、企業の多様性への対応とブランド戦略の一環として捉えることができる。130年以上愛され続けるコカ・コーラの変わらない味。その裏側では、伝統を守りながらも、変化する社会のニーズに柔軟に対応しようとする、企業の進化が起きていると捉えることもできるのではないだろうか。
何気なく手に取る商品の裏側にあるストーリーに目を向けてみると、今まで知らなかった世界が広がっているかもしれない。