ケニアに落下した宇宙ゴミ……その衝撃と未来への警鐘

2025年1月、東アフリカのケニア共和国にある村に、重さ約500キログラムもある巨大な金属リングが落ちてきた。空から降ってきた「それ」は、穏やかな村を一瞬にして恐怖に陥れた。

「爆撃かと思った…」

Live Scienceの記事によると、金属リングはロケットから切り離された部品である可能性が高いという。しかし、衝撃的なことに、どこの国、どの企業が打ち上げたロケットの一部なのか、正確な由来は未だ不明なのだ。

「牛の世話をしてたら、ものすごい音がしたんだ。『煙が出てないか?』と思って空を見上げたけど、何もなかった。それで、道路まで行って事故でもあったのか確認したんだけど、何もなかったよ」

そう語るのは、村に住むJoseph Mutua氏。彼はケニアのニュース番組NTVの取材に対し、当時の状況を緊迫感たっぷりに振り返っている。

当初、村人たちは爆撃と勘違いするほどの衝撃音に怯えたという。彼らが目にしたのは、村の木々や茂みをなぎ倒した、巨大なリング状の物体だった。

ケニア宇宙庁(KSA)は、これがロケットから切り離された部品であることを確認した。しかし、その出どころについては特定できていないというのが現状だ。

今回の事故による死傷者は、幸いにもいなかった。しかし、「もしこれが住宅地に落ちていたら…」「もし旅行中に空から降ってきたら…」そう考えると、他人事では済まされないだろう。

宇宙ゴミ問題、もはや対岸の火事ではない

「もし住宅地に落下していたら…大惨事になっていた」とMutua氏は言葉を漏らしている。

Live Scienceによれば、地球の周回軌道上には、1ミリメートル以上の大きさの宇宙ゴミが1億7000万個以上も存在するという。これはあくまで現時点で把握できている数であり、実際はさらに多くの宇宙ゴミが地球の周りを漂っている可能性もある。

そして、宇宙開発が進むにつれて、この数はさらに増加していくことが予想されている。

宇宙旅行がより身近になる時代だからこそ

近年、宇宙旅行が現実味を帯びてきている。民間企業による宇宙開発も進み、私たちにとって宇宙は、より身近な存在になりつつある。

しかし、その一方で、宇宙ゴミ問題は深刻化しているのだ。

宇宙開発の光と影、私たちは両方を直視しなければならない。宇宙ゴミ問題を解決するために、私たちにできることは何だろうか?

たとえば、宇宙ゴミを減らすための技術開発や国際協力、そして、宇宙ゴミ問題について「知る」こと自体が、未来への第一歩となるだろう。

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