「Kawaiiは脳を健康にするか」サンリオがビジネスマンのウェルビーイング向上にむけ本格的な研究を始動
サンリオピューロランドなどを運営するサンリオエンターテイメントが、異色の共同研究プロジェクトを開始した。
「Kawaii」というカルチャーが、ビジネスパーソンの脳の健康にどのような影響を与えるのかを科学的に探る試みだという。長年培ってきた「Kawaii」の力と、脳科学の知見を掛け合わせ、新たなウェルビーイングの形を探求する。
「Kawaii」と「脳」
この研究プロジェクト『Kawaii BHQ 研究』は、サンリオエンターテイメントと、脳科学研究を推進する一般社団法人ブレインインパクト、そして脳の健康指標「BHQ」の事業化を進めるBHQ社の3者による共同事業だ。
サンリオエンターテイメントは、ハローキティに代表されるキャラクターたちがコミュニケーションを円滑にし、人々に好影響を与える場面を数多く経験してきた。
一方、ブレインインパクトは、脳の健康状態を数値化する指標「BHQ」を活用し、ビジネスパーソンの生産性やストレス耐性に関する研究を重ねてきたという。
両者の知見が交わるきっかけとなったのは、ある先行研究の結果らしい。
京都大学などの研究チームによる調査で、男性や知識労働に従事する人ほど「Kawaii」を避ける傾向にあり、それによって得られたはずの幸福感を取り逃がしている可能性が示唆された。このことから、「Kawaii」に触れる機会を設けることが、仕事のパフォーマンス向上に繋がるのではないか、という仮説が生まれたようだ。


パナソニック社員で実証、Kawaiiがもたらした変化
研究チームは、職場で実践できる「Kawaii」の取り組みを『Kawaii BHQ Actions』として定義。ポーチやバッジといったサンリオのグッズをデスク周りに置いたり、キャラクターを起点としたコミュニケーションに挑戦したりといった内容だ。
脳の健康状態の測定には、MRIを必要としない『クイックBHQドック』というツールが用いられる。これはBHQ社とパナソニックホールディングスが共同開発したもので、手軽に脳の状態をチェックできるという。
研究の第一歩として、パナソニックHDの社員22名を対象とした予備実験が実施された。1週間にわたり職場でKawaii BHQ Actionsを実践してもらい、出社時と帰宅時にクイックBHQドックで脳の状態を測定。
その結果、Kawaiiを導入しなかった期間に比べ、導入した期間では週を通して脳の健康スコアが高い水準で推移し、特に週の後半にかけて向上する傾向が見られたとのこと。


ウェルビーイングへの新たな視点
今回の予備実験の結果は、「Kawaii」がビジネスパーソンの脳の健康、ひいてはウェルビーイングの向上に寄与する可能性を示唆するもの。
今後は、「キャラクターの違いによって脳への影響は変わるのか」「個人に最適なKawaii体験は存在するのか」といった、さらに踏み込んだ謎の解明が期待される。
「Kawaii」という感性が持つ力を科学の目で捉え直すこの取り組みは、ストレス社会で働く人々の心に、思いがけない解決策を提示してくれるのかもしれない。

【関連情報】
◇一般社団法人ブレインインパクト(https://www.bi-lab.org/)
脳の健康管理指標BHQに関連する各種取り組みについての国際標準化活動を推進すると共に、脳情報のデータベースを公的共用リソースとして提供しています。今回の研究成果を活用し、脳科学研究の振興及び研究成果の社会への還元をより一層進めていく予定です。
◇BHQ株式会社(https://www.bhq.co.jp/)
脳の健康管理指標であるBHQを誰もが簡単に使えるためのプラットフォームを提供すると共に、BHQ Actionsに基づいて、様々なライフスタイルによって楽しみながら脳の健康維持増進ができることを目指しています。






