トランプの一声でコカ・コーラが製法変更?「米国産サトウキビ糖版」が登場

ドナルド・トランプの思想より、アメリカを象徴する飲料であるコーラの製法に変化が。

米コカ・コーラ社が、米国市場向けにサトウキビを甘味料として使用した新バージョンの『コカ・コーラ』を今年後半に発売すると発表した。

コーラに“本物のサトウキビ糖”を使用へ

『NBC』によると、トランプ氏は「コカ・コーラ社に対し、米国で販売されるコーラに本物のサトウキビ糖を使用するよう話したところ、彼らは同意した」と発信したという。

当初、コカ・コーラ社はこの事実を認めず、NBC Newsの取材に対しては「詳細は近々共有される」と述べるに留まっていたらしい。しかし、その数日後に行われた決算発表の場で、サトウキビ糖を使用したバージョンの発売計画を正式に公表。

現在、米国市場向けの『コカ・コーラ』は、主に「高果糖コーンシロップ(HFCS)」で甘みがつけられている一方、メキシコやヨーロッパの一部の国ではサトウキビ糖が使われており、特にメキシコで製造されたものは「メキシカン・コーク」として米国にも輸入され親しまれている。

健康と経済をめぐる視点

甘味料の変更は、健康や経済の観点から様々な意見を呼んでいる。

タフツ大学の心臓専門医であるDariush Mozaffarian博士は、サトウキビ糖と高果糖コーンシロップは、いずれも果糖とブドウ糖が約半分ずつで構成されており、代謝への影響は同じだと指摘する。

NBC Newsの記事によれば、どちらも過剰に摂取すれば、肥満や糖尿病などのリスクを同等に高める可能性があるとのこと。

一方、経済的な影響を懸念する声もある。

米国のトウモロコシ精製業者協会は、今回の変更が数千人規模の雇用喪失や農家の収入減、さらには外国産砂糖の輸入増加につながるとして、「意味をなさない」と批判的な声明を発表した。

農務省のデータでは、米国産のサトウキビは主にテキサス、フロリダ、ルイジアナの3州で生産されているものの、国内の砂糖供給量全体に占める割合は3割程度であり、残りはテンサイや輸入に依存しているのが現状だ。

コカ・コーラ社のCEOであるJames Quincey氏は、今回の新製品について、既存の製品ラインを補完するものであり、消費者の多様な好みに応えるための選択肢を増やす狙いがあると説明している。

NBC Newsの報道によれば、同氏は決算発表の場で「消費者のための永続的な選択肢になるだろう」「消費者の嗜好がある分野では、利用可能な甘味料の選択肢をすべて活用していく」と語ったという。

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