サラダチキンばかりの「糖質制限」が、失敗する理由。

糖質制限を研究して11年という管理栄養士の大柳珠美さんの著書『「糖質制限」その食べ方ではヤセません』(青春出版社)では、糖質だけを意識するのではなく、代わりに何を食べるのかが重要だと訴えています。

普段の食生活を考え直す意味でも重要なこと。糖質制限が世間に浸透した今だからこそ、最新栄養科学の知識を勉強して、自身の食生活に取り入れてみるのもいいかも。

「ローテーション食」のすすめ

糖質制限を実践するなら、肉、魚介、卵、大豆製品という4つのたんぱく質のグループのなかから、主菜となる食べ物を数種類選ぶことが大切です。

このときやりがちなのが、豚肉ばかり、鶏肉ばかり……といった具合に、同じ食材を食べる「ばっかり食べ」をすること。この食べ方は無意識にアレルギーをつくりだす可能性があります。

毎日食べているものや好物でよく食べる食材ほど、じつはアレルギーになりやすいことを覚えておいてください。それを防ぐには、同じ食材を続けて食べない「ローテーション食」を心がけることが重要。肉を食べるなら、鶏肉、豚肉、牛肉……といった具合に、同じ種類の食材が続かないようにするのです。

魚介類は旬を意識すると実践しやすいです。そのうえで、マグロやカツオなどの赤身魚、サンマやサバなどの青魚、タラなどの白身魚、ホタテやアサリなどの貝類など、さまざまな種類のものをとりましょう。

一説によると、ひとつの食材をとった後2日空ければアレルギーのリスクを減らすことができるそうです。毎日必ず納豆を食べるなら、量を減らして毎日食べるのではなく、一度に摂取する量が増えたとしても「一切とらない日」を作る方が良いのです。

ちなみに、仮によく食べる食品に対してアレルギーになった場合、その食材を3ヶ月くらい断てばまた食べられるようになることがあります。何はともあれ、好物をつくらず「雑食」を心がけることが大切なのです。

野菜だけが食物繊維にあらず

野菜以外に食物繊維が豊富なものにはキノコ類、海藻類、こんにゃく、おからなどがあります。カロリーも低く、野菜と違って日持ちするものが多くあるのが特徴です。以下、おすすめの食材をあげるので参考にしてください。

【キノコ類】
しいたけ、しめじ、えのきたけ、えりんぎ、まいたけ、なめこなど

【海藻類】
わかめ、昆布、めかぶ、もずく、焼き海苔、ところてんなど

【こんにゃく類】
こんにゃく、しらたきなど

海藻類やキノコ類などを食べるメリットは、食物繊維の効果だけではなく、その他に含まれている栄養素が摂取できる点にあります。これは野菜も同様。例えば野菜のなかでも比較的糖質が高いトマトやニンジンからは、抗酸化作用のあるリコピンやβ-カロテンなどを摂取できます。

「糖質量」だけで食べるものを選んでいると、こうした栄養素の恩恵を受けることができません。それはとてももったいないことだと思います。バランスを考えて食材を選んでください。

「どんな油をとるか」で
カラダは変わる

糖質制限において、脂質は血糖値を上げないため、制限の対象ではありません。むしろ、主食がない……つまり糖質からエネルギーを得ない糖質制限を実践しているのなら、脂質は糖質に代わるエネルギー源として必要となるので、積極的に摂取してください。ただし「どんな油をとるか」によってはあなたの身体に害をもたらすので注意しましょう。

油のなかで、もっとも避けておきたいのがトランス脂肪酸です。バターの代用品であるマーガリン。ラードの代用品であるショートニングにトランス脂肪酸は多く含まれますが、トランス脂肪酸はもはや食品ではなく工業品といえるのではないか……と個人的には思っています。

油脂にかかわらずいえることですが、原料の質や製造方法も考えて選ぶことが大切です。原料の植物は、どのように栽培されたのか。安価な大量生産の油であるならば、農薬や除草剤、遺伝子組み換えなどの影響はないのかなどを確認しましょう。

植物油の場合、どのように抽出されたかも重要です。とくに油には、常に酸化という問題がつきまといます。高温圧搾の油であれば、できあがった時点で油の酸化がかなり進んでしまっている可能性があるので注意してください。

酸化油を摂取し続け、過酸化脂質を体内で発生させることは、老化やがんなど多くの疫病に深くかかわってきます。糖質制限で痩せても、健康を害してしまっては意味がないのです。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。