「ファスティング」「糖質制限」「サプリ」間違いだらけのダイエット・・・
テレビやSNSでよく話題になる◯◯ダイエット…。けれどそれらは、実は健康に悪影響を与えているかもしれません。
そんな間違えやすいダイエット法を、坂詰真二さんの著書『やってはいけないダイエット』からご紹介。あなたがやっているダイエット法も、今すぐ見直すべきかもしれません。
むしろ痩せにくい体に…
「ファスティング」
食事を減らせば減らすほど、体脂肪だけでなく筋肉も減ってしまいます。
「体重が減るなら、筋肉が落ちても構わない」という人がいますが、これは大きな誤り。筋肉は生きる上で必要な体温をつくり出すため、常時エネルギーを消費しています。ですから、筋肉が減ればエネルギーを使わない「省エネ体質」になってしまいます。自動車や電気機器であれば省エネは喜ばしいことですが、人の体が省エネになるということは、つまり太りやすい体になるということ。
ですから絶食型ダイエットを行った後、実施前と同じ食事量に戻しても、エネルギー収支は黒字になるので体重が少しずつ増えていくことになります。筋肉が減ると体力も落ちて疲れやすくなり、体のラインもメリハリがなくなります。
“やせる”ではなく“やつれる”
「糖質制限」
私たちの脳にある食欲中枢は、血液中のブドウ糖の量を感知し、足りなければ空腹を感じて食欲を増し、多くなれば満腹を感じて食欲を落とします。食欲中枢は、脂質やタンパク質の量を感じることはできません。ですから、食欲とはすなわち糖質を求める欲求とニアリーイコールで、脂質やタンパク質に対する欲求は少ないのです。このため、おかず類はどれだけ食べてもいいという場合でも食欲が湧かず、結果的には摂取エネルギー量が少なくなるのです。
さらには心理的ストレスも。糖質制限によって交感神経が優位な状態が続くと、心理的にイライラ、ピリピリした状態に陥ります。つまり、心身が休まらないのです。糖質制限では「痩せる」というより「やつれる」といったほうが正解でしょう。
実際に実践している人の中には、常にイライラしている人、思考力や集中力が低下してボーッとしている人、元気がない人が多い気がします。糖質制限を提唱するある方は、実際に主食を摂らない一方で、昼間から1日中、毎日アルコールを飲んでいるそうです。私から見ると、糖質制限という理論の破たんを体現しているとしか思えません。
海外製品は特に危険!
「サプリメント」
ダイエットサプリメントについて危惧すべきは、効果以上に安全性です。ドラッグストアやスーパーで手に入るものであれば、その流通過程でいくつかの自主的な審査や判断というスクリーニングを経ていますが、怖いのはインターネット通販、特に海外からの個人輸入で手に入るものです。実際、これまでも様々な健康被害が起きています。
2002年7月、厚生労働省医薬局によれば、中国製のダイエット用健康食品、「御芝堂減肥こう嚢」と「せん之素こう嚢」の服用者のうち、12名が肝障害となり、1人が急性肝不全で死亡。強い因果関係が疑われるとして、WEBサイトなどを通じて2品の服用中止と医療機関への受診を呼びかけました。
2011年7月、東京都福祉保健局は「MDクリニックダイエット」というダイエットサプリメントを、個人輸入して服用していた女性が亡くなった疑いがあるとして、やはり同様に服用の中止と医療機関への受診を呼びかけました。
スマホ時代でネット通販がますます手軽になり、個人輸入も簡単になった今、「楽に痩せたい」という心理につけ込み、「楽に儲けたい業者」はどんどん増えていくことでしょう。危険なサプリや食品に手を出し、貴重な健康や命を失うことのないよう、くれぐれもご注意ください。
細胞は死に血液はドロドロに
「水分制限」
水を控える水分制限ダイエットは、命を危険にさらす間違いダイエットの典型です。そもそも、人間に限らず生物が生きるために最も必要なものは「水」です。水分が不足すると全身の細胞に栄養を運ぶことができなくなり、細胞は死んでしまうのです。さらに、血液がドロドロになって血栓もできやすくなります。
水太りをする!という人の栄養チェックをしてみると、実際は水を飲んでいるのではなく、スポーツドリンクなどの清涼飲料水や甘い缶コーヒーなどを多く摂っているということが多いです。つまり水太りの正体は、多くの場合「水分中に隠れた糖類(砂糖や果糖)の摂り過ぎ」による体重増加なのです。
『やってはいけないダイエット』
コンテンツ提供元:坂詰真二
NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト、パーソナルトレーナー。株式会社ピープル(現コナミスポーツ&ライフ)でディレクター、教育担当を歴任後、株式会社スポーツプログラムスにてアスリートのコンディショニング指導を担当。1996年に「スポーツ&サイエンス」を設立。アスリートへの指導、スポーツ医療系専門学校の講師を勤めながら、雑誌『Tarzan』(マガジンハウス)をはじめ、多くのメディアで監修・出演している。