水道水への評価向上と裏腹に、ペットボトル水への厳しい視線。ミツカンの『水にかかわる生活意識調査』結果

株式会社Mizkan Holdings内の組織であるミツカン水の文化センターが、第31回となる『水にかかわる生活意識調査』の結果を公表した。

1995年から続くこの定点調査は、東京圏、大阪圏、中京圏の住民を対象に、水と生活の関わりや意識の変遷を追うもの。

今回の結果からは、節水が習慣として根付きつつある一方で、特定のテーマへの関心が薄れるなど、水に対する現代人の複雑な意識がうかがえる。

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節水意識の高まりと変化するその動機

日常生活で節水を行っていると回答した人の割合は77.4%に達し、2019年の66.7%から着実に増加したようだ。

同センターのプレスリリースによれば、この背景には設問形式による影響も考えられるものの、節水行動そのものは広がりを見せている模様。

その理由として最も多かったのは「水道料金節約のため」(49.7%)であったが、注目すべきは「習慣になっているため」や「教育を受けてきたため」といった回答の増加だろう。「習慣」は前年の32.0%から36.0%へ、「教育」は18.0%から21.2%へと、それぞれ順位を上げて伸長した。

この変化は、節水が経済的理由を超え、社会規範的な行動として定着しつつあることの表れかもしれない。

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分かれる水道水とペットボトル水の評価

水道水に対する評価は向上傾向にあり、全般的な評価は10点満点で平均7.47点、飲用としての評価も7.02点と、昨年の数値を上回った。しかし、飲用としての評価は全般評価に比べて依然として厳しい見方がされているという。

その一方で、市販のペットボトル入り水へのイメージは2020年の調査時より悪化していることが判明した。

「おいしい」「衛生的」「品質が高い」といった肯定的なイメージを持つ人の割合が軒並み低下した事実。

東京大学大学院教授の沖大幹氏の解説によると、これは海洋プラスチックごみ問題などを背景とした消費者の意識変化が影響している可能性もある。

ただし、環境影響への認識には個人差も大きく、ペットボトル水そのものへの関心が低下しているとの指摘もなされた。

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伸び悩む記念日の認知度

水への関心を示す指標の一つである、8月1日「水の日」の認知度は6.3%と伸び悩む結果になった。過去の推移を見ると、ここ数年は横ばいが続く状況だ。

この傾向は「世界水の日」や「川の日」といった他の水関連記念日にも共通した課題のようだ。沖氏の分析では、記念日の増加そのものが人々の関心を分散させ、一つひとつへの注目を薄れさせている可能性が考えられるとのこと。

祝日である「海の日」などでも同様の傾向が見られることから、記念行事の有無が必ずしも認知度向上に直結しないという、難しい実態が浮かび上がる。

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データが示す、水と私たちの新たな関係

今回の『水にかかわる生活意識調査』は、私たちの水に対する意識が多面的であることを改めて示した。節水や水道水といった日々の暮らしに直結する事柄への意識は高まりを見せる。

しかし、ペットボトル水を取り巻く環境問題への考え方にはばらつきがあり、記念日への関心は希薄化しているのかもしれない。

こうしたデータは、水と私たちのこれからの関係を考える上で、重要な示唆に富むだろう。調査結果の詳細は、ミツカン水の文化センターのウェブサイトで公開されている。

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