ペットボトルの水は、水道水の1400倍生態系に影響を及ぼす
ペットボトルに詰めた水が天然資源に与える影響が、水道水の3500倍にも上ることが科学者によって明らかになった。
じつはこれ、近年水道水の品質が向上しているにも関わらず、ミネラルウォーターなどペットボトル入りの水がますます普及しているバルセロナで、ボトル入りの水の影響を調べた初めての試み。
バルセロナのグローバルヘルス研究所(ISGlobal)が主導した調査によると、仮にバルセロナの全人口がボトルウォーターを飲んだ場合、水道水と比較して資源採掘などにかかるコストは3500倍、年間8390万ドル(約92億円)になる試算だという。同時に、ペットボトルの水が生態系に与える影響は、水道水の1400倍とも。
中身の問題だけではない。ペットボトルが増えれば、プラスチック製造のための石油コストもかかる、廃棄ゴミの問題だって懸念材料だ。それでも、人々の選択は「水道水よりも慣れ親しんだペットボトル」。これが現状。
水道水は飲むには適さない。住民だけでなく観光客の我々にだって、こうした思いはあったはず。だが、はたして「蛇口から出る水はまずいのか?」。次回かの地を訪れた際は、蛇口をひねってみてはいかがだろう。
ところ変わって東京にはこんなデータがある。
東京都水道局が平成30年まで毎年実施してきた「東京水飲み比べキャンペーン」。およそ3万人を対象に目隠し調査で、ミネラルウォーターと水道水どちらの方がおいしいかをヒアリングするというもの。直近の結果を示そう。
・ミネラルウォーター:44.8%(1万3434人)
・水道水:40.4%(1万2112人)
・どちらもおいしい:14.8%(4450人)
(参加者3万2人)
数字の上ではほとんど差がないに等しい。おもしろいことに、過去10年ほど遡っても毎年似たような数値で落ち着いているのだ。そんな東京でも、“水は買うもの”という意識が多くの人に浸透しているのは間違いない。
選択の自由といえばそれまでだが、水を選ぶ背景に環境や資源への配慮も追加してもいいのかもしれない。