魚豊の「仕事場」が展示になる。完成前の創作に立ち会う十周年展
漫画の展覧会といえば、原画やカラーイラストが額に収まり、完成された世界を追体験する場所。そんなイメージを持っている人は少なくないはずです。
けれどこの冬、東京で始まる展覧会は、その前提をひっくり返そうとしています。
会場に仕事場が現れる、
「魚豊十周年展 UO10.」
2026年12月19日から2027年2月23日まで、東京国際フォーラム地下1階のYURAKUCHO MUSEUMで開催される「魚豊十周年展 UO10.」。
漫画家・魚豊のデビュー10周年を記念した、初の作家展です。
魚豊は1997年生まれ。13歳で漫画の投稿を始め、2018年に『ひゃくえむ。』で連載デビューしました。
2020年に始まった『チ。―地球の運動について―』は、地動説をめぐる命がけの知の継承を描き、累計発行部数570万部を突破。2022年には手塚治虫文化賞マンガ大賞を史上最年少で受賞しています。
展示は『ひゃくえむ。』『チ。』『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』の3作品を軸に、構想メモから原画、ネームまで、作品が形になるまでの思考の軌跡をたどる構成です。
しかし、この展覧会の核心は過去の回顧にはありません。
会場の一角に、魚豊本人の仕事場が出現します。
そこで実際に新連載の制作が行われることもあり、生まれた原稿は順次展示に加わっていく。つまり、会期中に展示物が増え続けるのです。
「いつ行くか」で
見えるものが変わる体験
通常の展覧会は、初日に行っても最終日に行っても展示内容は同じです。
でもこの展覧会では、12月に足を運んだ人と2月に訪れた人では、目にする作品の数も、物語の進み具合もまったく違うことになります。
完成品だけを受け取る鑑賞から、まだ形になっていないものが線になり、物語に変わっていく過程に立ち会う体験へ。
それは漫画に限った話ではないかもしれません。
私たちは普段、映画も音楽もプロダクトも、完成されたものを消費することに慣れています。
でも本当に心が動くのは、誰かが何かを生み出そうともがいている、その途中の熱に触れたときではないでしょうか。
魚豊自身が主催に名を連ね、企画に全面協力しているこの展覧会は、作家が自らの創作行為そのものを展示物として差し出す試みです。
完成を待たずに見せる勇気と、未完成を受け入れる観客の信頼。その関係が成り立つとき、展覧会という場所の意味が少しだけ変わるのかもしれません。
魚豊十周年展 UO10.
【会期】2026年12月19日(土)〜2027年2月23日(火・祝)※2027年1月1日(金)休館
【会場】YURAKUCHO MUSEUM(東京都千代田区丸の内3-5-1 東京国際フォーラムB1)
【営業時間】10:00〜20:00(金・土・日・祝は21:00まで)
【チケット・グッズ情報】2026年10月公開予定
【公式サイト】魚豊十周年展 UO10.






