上野に「地図にない国」が出現。街を歩いて痕跡を追う“調査型展示”が開幕

展覧会に行くとき、私たちはたいてい「鑑賞者」です。完成された作品を眺め、解説を読み、感想を持ち帰る。でも、もし展示室に足を踏み入れた瞬間から「調査員」になるとしたら。しかも調べる対象が、地図のどこにも載っていない国だとしたら。

鼻の骨が異様に長く伸びた人骨のような頭骨オブジェ、パンジャ王国の展示物とされる標本
© 株式会社パルコ

来場者は鑑賞者ではなく
「調査員」に

黒い陶器に猪と幾何学模様が白線で描かれたパンジャ王国の民具とされる器
© 株式会社パルコ
紫・青・赤・水色に彩色された色とりどりのキノコの標本4種
© 株式会社パルコ

2026年10月9日、PARCO_ya上野の4Fイベントスペースで開幕する「地図にない国 パンジャ王国展」は、パルコのゲームレーベル「PARCO GAMES」と、体験型のナゾトキイベントを手がける制作集団「タンブルウィード」が組んだ調査型展示です。

PARCO GAMESにとって、この形式は初めての試みとのこと。

舞台となるのは「パンジャ王国」という架空の国。未知の文字が刻まれた木片の発見から存在が浮上した、という物語が用意されています。

来場者はまず会場で配られる調査用パンフレットを手に、展示物を観察しながら独自の言語を解読していきます。つまり、ガラスケースの向こうの品々は鑑賞の対象ではなく、自分の手で読み解くべき証拠資料なのです。

物販コーナーに並ぶTシャツやキャンドルも、ただのグッズではなく「パンジャの民具」という文脈で提供されます。運営の外側まで世界観に巻き込む徹底ぶりには、思わず唸ります。

調査の舞台は、上野の街そのものへ

パンジャ王国の展示物イラストと『PANJA』ロゴが並んだ白いTシャツ
© 株式会社パルコ

体験は展覧会パートだけでは終わりません。約60分の展示を経たあと、調査の舞台は上野・御徒町の街へと移ります。

展覧会で得た知識を手がかりに、実際の街を歩きながら王国の痕跡を追う周遊パートがさらに約60分。合計およそ2時間の体験です。

ここが面白いところで、博物館や美術館が集まる上野は、もともと「見る」文化の街。その土地で「見る」を「調べる」に変換するイベントが開かれるわけです。

普段なにげなく通り過ぎている街並みが、架空の王国の痕跡として読み替わる。その瞬間、日常の風景の解像度がほんの少し上がる感覚は、展覧会を出たあとも残るのではないでしょうか。

「これは架空か、発見か」
という問いの仕掛け

キャッチコピーは「これは架空か、発見か。」。虚実の境界を意図的にあいまいにする演出が、この展示の核心です。

体験は4つのステップで構成されていますが、最後のステップだけは「???」と伏せられています。調査を進めた先で何が見つかるのかは、自分の目で確かめるしかありません。

受け身で眺めるだけの体験に少し飽きてきた人にとって、自分の観察と推理で物語を組み立てていく2時間は、新鮮な選択肢になりそうです。

会期は12月6日まで。チケットは2026年9月18日の12:00から販売が始まります。

地図にない国 パンジャ王国展

【会期】2026年10月9日(金)〜12月6日(日)
【会場】PARCO_ya 上野 4F イベントスペース
【所要時間】約120分(展覧会約60分+周遊約60分)
【プレイ可能時間】10:00〜20:00(展覧会最終入場 18:00)
【入場料】3,520円(税込)
【チケット販売】2026年9月18日 12:00〜 ESCAPE.ID / チケットぴあ
【公式サイト】パンジャ王国展 公式ページ

Top image: © 株式会社パルコ
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