もしも「裸の人」が街を歩いていたら?その答えを探るインスタレーション

ニューヨークの観光名所として、賑わっている「ハイライン」には、たくさんのアート作品が並んでいます。ただ、今回紹介するヌードは、その中でも多くの人の記憶に残る強烈なもの。

「この先、ヌードで日光浴してる人がいますよ」

ハイラインは、ブルーボトルコーヒーなど、ストリートカルチャーでもハイレべルなショップが出店するような特別な公園です。クリエイティブな若者が集まる街、チェルシーを縦につらぬく素敵な場所ですが「この先、ヌードで日光浴してる人がいますよ」の看板が…。

そんなまさか。NYだし。

うわ、本当にいた。

突如ハイソな公園に現れた裸の中年男性。白ブリーフの垂れ具合といい、とても不気味です。これが「ヌードで日光浴」の正体?
 
彼は、T・マッテリさんによる作品のひとつで、ハイラインに設置されているインスタレーション「スリープウォーカー」。ハイパーリアルな彫刻作品であり、本当に人間に見えるのです。このダマされた感!

ペンキの跡が、これまたリアル…。

そして肌感。いや質感。

動き出すんじゃないかとおっかなびっくりですが、つい近づいてみたくなります。

リアクションせずにはいられない「存在感」

このアートを見て、すぐに「何か」を理解できる人は、なかなかいないでしょう。選択肢としては、よくできた人形か、もしくは人形のフリをしたパフォーマー。
 
だから、これを見た人たちはまず、人間なのかどうかを慎重に確かめはじめます。微妙に動いていないかどうか、肌の質感はどうか。おそるおそる触ってみて、ようやく人形だということに気づきます。
 
この「スリープウォーカー」の前では、ほとんどの通行人の足がとまり、さらにいえば、ほとんどの人が何かしらのリアクションをとっていくのです。

ハグしてみたり、一緒にセルフィーを撮ったり。そうこうしているうちに、気付かされるのです。「もしかして作家は、鑑賞する人を含めて、ひとつの作品にしたかったのではないか?」と。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。