「スポーツを街のなかに」パリ五輪が、かなり斬新な件

パリの“象徴”
五輪の装い

©Paris 2024

パリオリンピック2024開幕まで残り50日を切った6月7日、エッフェル塔に五輪のシンボルが掲げられた。パリ市民のみならず観光客もオリンピック仕様のエッフェル塔にカメラを向けたことだろう。

先の2020東京大会では「お台場海浜公園」海上に設置されたこの巨大なシンボル、オリンピックにおいて“スペクタキュラー”と形容されるそうで、パリ大会組織委員会会長を務めるトニー・エスタンゲは「記憶に残る光景を提供したかった」と、パリの象徴であるエッフェル塔へのシンボル設置の意図を説明した。

装いあらたにしたエッフェル塔のお膝元シャン・ド・マルス公園内に「エッフェル塔スタジアム」が仮設され、ビーチバレーやブラインドサッカーの舞台となる。また、周辺では「シャン・ド・マルス・アリーナ」において柔道やレスリング、このほかロードサイクリングの競技舞台となるようだ。

初の試み盛りだくさん
革新的なオリンピックに

©Paris 2024

ところで、今大会で選手に授与されるメダルの一部にエッフェル塔の鉄製の柱から切り取られた(改修工事で取り除かれたもの)金属がリサイクル使用されているのは周知の事実だが、同様に先のシンボルもまたアップサイクルされた金属製だそう。こうした、サステナビリティへの意識を全面に押し出しているのもパリ2024。ほかにも選手村などの新しい建築物には進んで木材を用い、メディアからは「木のオリンピック」と称賛されてもいる。

本来であれば3年前の東京大会において、「持続可能な国際大会」を世界に向けて発信したかったはず。それが未曾有のコロナ禍どうにか開催にこぎつけることで手一杯になってしまった感が否めない。

あれから3年、花の都が仕掛ける大会はパリの街並みの美しさを最大限に活かしながら、選手と観客を夢の世界へと誘う。

特筆すべきは開会式。観客がメインスタジアムで選手入場を迎え入れる従来のスタイルから一転、セーヌ川をボートで下る選手団を川岸から観覧、応援することができるらしい。それも無料で。

「スポーツを街のなかに」をテーマのひとつに掲げる今大会。パリ市内と各競技が地続きとなる──なんとも合理的でありながら革新的なアイデアが詰まった、フランスらしい「自由」という言葉がよく似合うパリ2024。SDGs時代の国際大会を仕掛けるパリに期待しないわけにはいかない。

Top image: © Paris 2024
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。