茶室に入る前に、氷風呂へ。北海道の海辺で始まった「五感を目覚めさせる茶道」
静寂の中で心を鎮め、じっと茶を味わう。そんな茶道のイメージを軽やかに裏切る体験が、北海道の海辺で始まりました。
不動産会社のNISEKO INVESTMENTSとプロジェクトデザイン会社のNEWSKOOLは、季節ごとに場所を移す茶室「A庵 余白・余市edition」の一般受け入れを開始しました。
砂浜を走り、
氷風呂を越えてたどり着く席へ


伝統的な茶の湯では、露地を歩き、手水鉢で手と口を清めてから小さなにじり口をくぐります。俗世の垢を落とし、日常から非日常へと感覚を切り替えるための大切な作法です。
しかし今回の余市での体験は、その入り口から身体の感覚を強く揺さぶります。参加者はバギーに乗って砂浜を走り抜け、日本海を望む場所に据えられたコンテナ茶室へと向かいます。
さらに茶室へ入る直前には、目の前の海を眺めながら氷風呂へ浸かる時間が用意されています。冷たい水によって身体の感覚を限界まで研ぎ澄ましてから、茶室の戸を開ける設計です。
室内で待つのは、温かい湯と茶碗、そして傾く日の光を受けて表情を変える日本海です。冷え切った身体に染み渡る一服が、日常で鈍っていた五感を鮮烈に目覚めさせます。
土地の移ろいごと
運ぶコンテナ建築の試み


この茶室のもうひとつの特徴は、建物そのものが季節に合わせて旅をすることです。空間の土台となっているのは、改築された1台の20フィートコンテナです。
新しい建物を土地ごとに建てるのではなく、同じ空間を丸ごと移設することで、設置場所による環境の落差を際立たせる運用をとっています。
2025年度の冬には、雪深いニセコで羊蹄山を望む場として誕生しました。2026年2月には人が行き交う東京の渋谷へ現れ、そしてこの夏から秋にかけて余市の海岸へと運ばれてきました。
同じ数畳の箱であっても、窓の向こうが雪原か、都会のビル群か、果樹園と海かによって、流れる時間も茶の味わいも全く異なります。
茶の湯を静止した作法としてではなく、環境と身体を置き直す現代の通過儀礼として捉え直す試み。極限の刺激と雄大な自然が交差する余市の海辺で、自分自身の感覚を取り戻す時間が待っています。
A庵 余白・余市edition
【会期】2026年11月上旬まで
【場所】北海道余市郡余市町 ※詳細な住所は予約者にのみ開示
【料金】1組 30,000円〜
【予約】公式Webサイト






