大曲の花火、「ど真ん中」にレストランが出現する夏
花火に特化した旅行会社「花火トラベル」を運営する株式会社ヘバナが、今夏ちょっと信じがたい企画を発表しました。あの大曲の花火の会場中央に、一夜限りのレストランを出現させるというのです。レジャーシートでも屋台でもなく、コースディナーとペアリングドリンク。
花火大会といえば、場所取り、混雑、帰りの渋滞。多くの人にとって「見て帰るだけ」の体験になりがちです。でも今回の企画は、その常識をかなり大胆にひっくり返そうとしています。

会場の中央にテーブル30卓を据える

高層ホテルのラウンジや川沿いのレストランから花火を眺めるプランは、すでにいくつも存在します。けれどそれらはあくまで「花火が見える場所にレストランがある」という構図。今回は逆です。花火会場の中央、「デラックステーブル席」エリアに30卓のテーブルと椅子を設え、特設キッチンからシェフが料理を仕上げて運ぶ。花火を「眺めるもの」から「包まれるもの」に変えてしまおうという試みです。
当日は17:00からのディナータイムで昼花火と夕暮れを背景に食事を楽しみ、19:00以降はバータイムに切り替わって、おつまみとフリードリンクを片手に夜花火を鑑賞する。約4時間半、空の色が変わっていくのと一緒に体験そのものも移り変わっていく設計です。
外を知り、地元に戻った仕掛け人たち
この企画で注目したいのは、仕掛けている人たちの顔ぶれです。プロデューサーの青柳友哉さんはヘバナの代表であり大仙市の市議会議員。フードディレクターの松本紘幸さんは東京で9年間飲食店を経営したのち故郷の大仙市にUターンし、現在は地元で飲食店「高梨商店」を営んでいます。クリエイティブディレクターのわいないきょうこさんは、35年間の英国生活を経て秋田県美郷町に移住した衣食住のクリエイター。
外の世界を知った上で地元に戻ってきた——あるいは新たに根を下ろした人たちが集まっている。共通しているのは、「毎年数十万人が来るのに、秋田の魅力を味わう時間がほとんどない」という課題意識です。宿泊施設が足りず、多くの来場者は花火を見たらそのまま帰ってしまう。その数時間に秋田の旬の食材を重ねることで、「花火の夜」を「秋田の夜」に変えようとしているわけです。
レジャーシートでも有料席でもなく
2名1卓で税込20万円という価格は、正直なところ気軽とは言えません。ただ、コースディナー、ペアリングドリンク、フリードリンク、花火の観覧チケットがすべて含まれていることを考えると、単純な「高い・安い」では測れない体験の密度がそこにはありそうです。
そもそも日本の花火大会は世界的に見ても稀有な文化。花火師たちが技を競い合う「競技大会」という形式は大曲ならでは。それなのに、体験の選択肢はずっと「レジャーシートか有料席か」の二択に近かった。そこに「レストラン」という第三の選択肢が加わること自体が、花火の楽しみ方にまだ余白があったことを教えてくれます。
今年の夏、花火大会に出かける予定のある方は、ちょっとだけ想像してみてください。もし目の前のテーブルにその土地の旬が並んでいたら——花火の記憶は、光と音だけじゃなくなるかもしれません。
大曲の花火 会場どまんなか 一夜限りのレストラン
【開催日】2026年8月29日(土)
【受付】16:30〜17:00
【ディナータイム】17:00〜19:00(昼花火・夕暮れとともに)
【バータイム】19:00〜21:30(夜花火とともに)
【会場】第98回全国花火競技大会(大曲の花火)観覧会場内中央「デラックステーブル席」エリア
【卓数】30卓(完全予約制)
【料金】2名1卓 税込20万円/3名1卓 税込22万円/4名1卓 税込25万円
※テーブル・椅子、ペアリングドリンク付きコースディナー、フリードリンク(お酒・ソフトドリンク)、花火観覧チケット込み。一部飲み物は追加料金の場合あり
【販売期間】2026年7月17日〜8月20日
【予約・詳細】花火トラベル公式サイト






