太陽光パネルの下で野菜を栽培。光利用効率が最大4.5倍になる新技術
青空の下の畑に、黒い太陽光パネルが並ぶ光景を見かけることがあります。
電気を生む一方で、作物の日光を奪うのではないかという心配も生まれます。科学メディア「サイエンスアラート」が報じたスウェーデンの実験は、そんな太陽光と農業の対立に新しい視点をもたらしました。
植物に必要な光だけを届け、
光の利用効率は最大4.5倍に
スウェーデンのメーラルダレン大学の研究チームは、半透明の鮮やかなマゼンタ色の太陽光パネルの下で作物を育てる実験を行いました。
植物は光合成を行うとき、主に青色と赤色の光を吸収し、緑色の光はほとんど使いません。葉が緑色に見えるのは、その緑色の光を反射しているためです。
今回のパネルは、もともと室内にローズ色の光を取り入れながら発電する建材でした。このパネルが植物の好まない緑色の光を遮り、成長に必要な光だけを通すフィルターになります。
研究チームはブロッコリーを使い、直射日光の区画と、マゼンタ色のパネルの下の区画を比較しました。学術誌『Cell Reports Physical Science』によると、最終的な収穫量はほぼ変わりませんでした。
パネルの下では届く日光の総量が少ないため、収穫までに25日長くかかりました。しかし届いた光をどれだけ効率よく使えたかを示す光利用効率は最大で通常の4.5倍に達しました。
大規模な農地よりも、
温室や市民農園へのシェアへ
今回の装置には技術的な課題もあります。栽培期間中の発電量は一般的なパネルより1ヘクタールあたり約100メガワット時少なく、遮った緑色の光を発電に生かせているわけではありません。
また、生育への影響が光の色の選択によるものか、光量全体の低下や温室効果によるものかという詳細な検証もこれから必要になります。
研究チームや電力工学の専門家は、広大な農地への導入よりも、温室の屋根や市民農園のような身近な空間での活用が適していると見立てています。
土地や日光を取り合うのではなく、光の波長を分担して共存する。限られた場所でエネルギーと食料をともに生み出すための、やさしい工夫が始まっています。






