本物の冒険を共有すること。旅のその先へ -林 季一郎・平岩 隆

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林 季一郎 Kichiro Hayashi

平岩 隆 Takashi Hiraiwa

世界一周の旅のテーマは、本物の冒険を共有すること。林さんは慶應大学、平岩さんは早稲田大学を卒業した直後、二人で車と共に海を渡る。全ての移動を自前の車で行い、目の前に広がる景色をスライドショーにしてウェブ上で共有している。そんな彼らはソフトバンク孫社長など多くの人からの支援を受けながら、今日も世界のどこかを走っている。車の搬送中で、アルゼンチンからの再出発までに日本で一時帰国中の彼らに、お話を伺った。

001.前代未聞の冒険をしたい

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 世界一周のテーマが非常にユニークだと思います。そもそもどうしてこのような形の旅をしようと思ったのですか?

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二人とも数回しか海外へ旅に出たことはありませんし、元々旅をしたいという気持ちが強かったわけではありません。むしろ、観光をすることにはあまり興味はありませんでした。とにかく自分たちだけで前代未聞の冒険をしたい、という一心でした。きっと誰しもが抱いたことのある大きな野望だと思います。それは不可能だ、とみんな勝手に決めつけて諦めてしまっているだけだと思ったのです。まず、そのような冒険をしようと思っても日本にいては難しいと感じたので、海外に目を向けました。そこで絶対おもしろいはずだと思いついたのが、車で世界一周する、という冒険でした。それを決めた後、せっかく誰も通ったことのない道を通って、誰も見たことのない景色を見るのなら、それを発信して他の人にも追体験してもらおう、と思ったのです。このような経緯で「誰でも体験できる世界一周LOOK」を立ち上げました。

002.動けば見えてくるものがある

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過去に誰も成し遂げたことのない冒険だったので、準備にはかなり苦労したと思います。不足した資金や物資を、クラウドファンディングを使ったり、ソフトバンク孫社長から支援をもらったりもしていますよね。その経緯も含めて旅の準備のお話を聞かせてください。

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まず、この旅にかかる費用をざっくり見積もったところ、約400万円必要だとわかりました。ちょうど大学3年生の8月だったのですが、そこから二人で400万円を稼ぐことを目指して懸命にアルバイトを始め、それに平行して他の準備にも取りかかりました。

しかししばらくすると、どうしても資金が不足することに気づきました。資金が足りなくても旅に出るつもりでしたが、たまたま友人からクラウドファンディングを使用した資金調達方法を教えてもらい、早速このプロジェクトを掲載して不足する40万円の支援を募集させていただきました。直後に、自分たちのクラウドファンディングのプロジェクトのURLを記載した上で、Twitterでソフトバンク孫社長に本プロジェクトの概要説明とそれに必要なiPadの協賛をツイートしてお願いしてみました。すると、リツイートでのリプライをいただいて、孫社長からiPadと海外パケットし放題の協賛をいただけただけでなく、多くの方々に自分たちのプロジェクトを広く知ってもらうことができました。
それが功を奏して、1日で目標の40万円を突破し、気づいたら数日でその3倍以上の支援をいただけることになりました。また出発前から自分たちを応援してくださる人たちを得ることができました。物資の支援や情報収集は、実際に足を運んで頼みに行ったり、是非支援したいという方から連絡をいただいたりしてなんとか準備を完了させることができました。やはり、実際に動けば見えてくるものがあると思うのです。

※クラウドファンディング:個人や団体があるプロジェクトを掲載しそれに対する資金を、ネットを通じて多数の支援者から収集し実現する方法。

003.支援を受ける側から何かを与える側へ

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金銭的な余裕はないが世界一周などの旅をしたい人にとっては、クラウドファンディングで支援をもらうことは一つの選択肢となってきているように思います。支援を受ける中で林さんと平岩さん自身が変わったことはありましたか?また、旅の反響によって変わったことはありましたか?
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どちらも大きくありました。変わったことをしている人には変わった人たちが集まってくるようで、僕たちを応援・支援していただいた方々は皆ユニークでした。素晴らしく刺激的な出会いがたくさんありました。旅に出る前の僕らは、人の助けを借りずに自分達だけの力でこの旅を成功させてやると意気込んでいました。自力で成し遂げた旅が自分たちにどのような意味をもたらすのか、という思いがありましたから。しかし、支援をいただいたり、反響を知ったりするうちにその考えは大きく変わっていきました。
旅中に頂くメッセージも僕たちに大きな影響を与えました。長旅に疲れて少し気分が落ち込んでいる時に、一通のメールをいただいたのです。連絡をいただいた方は、日差しに浴びることができない病を患っているため、ほとんど外に出られないそうです。大好きだった旅が出来ない生活の中で、LOOKの旅を追体験することで、ご自身の夢を託していますとおっしゃってくれました。そしてメールの最後には、ありがとう、と添えられていました。その後も、似たような連絡をいくつか頂きました。気が付けば、最初は多くの方々から支援を受ける立場でしたが、何かを与える立場でもあるのだと感じました。結果的に、旅は出発前に想定していたものと全く違う意味を帯びるようになっていました。

004.旅のその先へ

 

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車で自由に旅しているからこそ、本当の意味でリアルな世界を目にしてきていると思います。林さん、平岩さんのそれぞれの目にはどのように映り、それを通じて変わったことなどはありましたか?

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単純に好きなことをして生きていこうと思えるようになりました。世界中には、自分の好きなことをして生きている人が多かったのです。その人たちの目は輝いていました。LOOKの旅を終えたら、その時にやりたい、と思ったことをやりたいです。(林さん)

世界に出て、日本の製品が海外ではこれほどまで愛されていているのかと驚愕し、その根底には日本人の几帳面さがあると感じました。日本人はその偉大さに気づくべきだし、自信を持つべきではないかと思います。また、発展途上国には子供が溢れかえっているのを目にし、今後はこれまで以上に人口が急増していくことを実感しました。しかし同時に、世界では日本で当たり前のように得られる清潔な水を手に入れることが難しかったので、人口の増加と相まって水不足の問題が深刻化していくことが痛感されました。このような経験から、活動終了後は、世界の水需要対策に関わっていきたいと考えています。(平岩さん)

林さんと平岩さんの未知なる冒険は今も地球の裏側で続いています。是非、LOOKの旅を追体験してみて下さい。また、資金不足の彼らは、面白い特典が付いた追加支援をサイト上で募集しています。彼らの冒険を共に応援してみてはいかがでしょうか。

 

<インタビュー 別府大河>一橋大学商学部2年生。海外を旅して、世界における日本の可能性を感じる。将来は、日本から海外へ、海外から日本への架け橋となり、世界中に「幸せ」を創出することを志す。
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。