【研究結果】風邪でも仕事に来る人、休む人の違いは?
体調が悪い…と自分で感じたとき、あなたは真っ先に何を考えますか?「無理せず会社を休んじゃおう」でしょうか。それとも「体にムチ打ってでも出社しなければ」かも。もちろん体調にもよりますよね。でも、その他にも両者を二分する心理があるんだそう。
「Science of Us」に紹介されたライターJesse Singal氏の記事が、“労働者の心理“にフォーカスをあてた研究結果を紹介しています。
本来の能力が発揮できない
それでも、会社へと向かわせる理由
もしも、あなたが病気にかかり生産効率がグンと下がっているにもかかわらず、動かぬ体に無理を言わせて会社へとやってきて仕事にあたったとしましょう。出社しても不調のせいで頭や体が思うように動かず、本来のパフォーマンスを出せない状態です。これを研究者たちは、「プレゼンティーイズム(疾病就業)」と称しています。
従業員たちを不調でも会社へと向かわせる、企業内の目に見えない圧力。そこに研究者らの興味が注がれています。なぜなら、季節性インフルエンザなどの影響で労働力を失う可能性が出る場合、これは決して小さな問題ではないからです。
この疾病就業をより深く理解するため、University of East AngliaのMariella Miraglia教授と、カナダ・コンコルディア大学Gray Johns教授は、大学の卒業生を中心におよそ34カ国、のべ175,965人に協力を依頼。疾病就業に対する意識調査を開始しました。
そして、会社内で何が起こっているかを正確に把握するべく、あらゆる要素を統計学的に分類、解析を実施しました。
「休めない…」の背景にある
責任感と、他人からの目
結果、疾病就業は「大事な会議がある」「さぼる訳にはいかない」など、社会的責任を感じることによる"気持ち"によって起きていることがわかりました。病に冒されていてもなお、ビジネスマンにとってはどう見られているかが優先事項のようです。
また、そこには厳しい勤務形態や、不安定な雇用保障が少なからず影響を及ぼしており、従業員たちに「休めない…」といった、暗黙のプレッシャーを植え付けていることも。
たとえば、欠勤中に自分の案件やリソースを失う恐怖や、休み中に溜まったタスクへのストレスなど。さらには、他人の目を気にして積極的な態度で挑もうと、無理をして出社する場合があります。
しかし、結果は言わずもがな。「何も機能せずにただの疾病就業となる」とも研究者らは見ているようです。
休める人と休めない人
信頼関係が、まず大切!
さて、今回の調査でもうひとつ明らかになった興味深いデータがあります。体調が悪かろうと、仕事へと向かってしまう人の特徴です。ひとつは金銭的なストレスを抱えている人、もしくは慢性的な持病を抱えている人、そして自分の仕事を他人に任せたり、割り振ることができない人。こうした意識があると、なかなか自分の仕事から離れるという考えには至れないんだそう。
仕事に対する積極的な態度をもっている反面、部下や同僚、組織のサポートを得られる良好な関係性が築けていなければ、結局は自分が休まずにやる他ないと無理をしてしまうことに。
体調不良のせいで思うように頭が回らないなか仕事をした結果、それが致命的なミスを犯してしまうことにもなり兼ねません。病気と思った時には、早め早めに自分のタスク整理を始め、誰にどんな作業を任せて療養にあたるかの判断をつけるべきかもしれません。場合によっては、病気の自分を過小評価することで自分が守られるということもあるのかもしれませんね。
Reference:University of East Anglia
Licensed material used with permission by Jesse Singal for Science of Us