ニューヨークやロンドンの道路脇に置かれた白い自転車「ゴーストバイク」が、教えてくれること

ニューヨークやロンドンの街角で、道路標識に一台の白い自転車が括りつけられているのを見たことがあるだろうか?

いつも同じ場所に固定され、薄汚れた姿は、一見するとただ捨てられているようにもみえる。しかし、不法投棄されたわけではない。

このタイヤからグリップまで真っ白な自転車は、ゴーストバイクと呼ばれている。これらの自転車には、そのすべてに持ち主がいた。そして、この場所で命を落としている。

白塗りされ、街角に佇む自転車は実際に彼らが交通事故に遭遇した際に乗っていた自転車であり、壊れた車体はそこで起きた事故の大きさを物語っている。

このゲリラ・プロジェクトは2003年にミズーリ州で最初に設置されて以来、全米に広がり、やがて世界中へと広まっていった。

警察官が事故現場に残す白チョークでなぞった遺体の輪郭を真似て自転車を白塗りし、犠牲者の名前と亡くなった日を事故現場に記して弔うのだ。

追悼だけではない
ゴーストバイクがそこにある「意味」

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事故現場に自転車が置かれる理由は故人を偲ぶためだけではない。ゴーストバイクは、そこを通るサイクリストたちに公道が危険な場所だと思い起こさせる。

自転車や車、歩行者など、公道を行き交うすべてに、不注意によって失われた命があると主張している。そして、車道と歩道の間に追いやられているサイクリストの立場向上を願っている。

自転車レーンがより整備され、拡張されることだけを望んでいるわけではない。もっと漠然とした、公道を行き交う全てに対する、文化そのものが変わることを期待しているのだ。

日常に潜む違和感として
ひそかに主張するアート

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これらの写真はいずれも2011年にロンドンを訪れた際にこの不思議な自転車を見つけた際に、友人からその意味を教えられ、感銘を受けた写真家の今井竜也氏が撮り溜めたものだ。

白い自転車は静かな主張であり、注意喚起であり、慰霊碑であり、同時に、ひとつのアートとも言える。どこにでもあるストリートという日常に、そっと死を孕んでゴーストバイクは溶け込んでいる。

日本でもノーブレーキピストやロードバイクの流行によって自転車の交通マナーについて議論が交わされるようになった。日本ではヨーロッパのように自転車専用レーンの整備がされておらず、ひやりとすることも多い。

海外のサイクリストたちがゴーストバイクのプロジェクトを通じて訴えかけている声に、我々も耳を傾ける必要があるのかもしれない。


All photo by 今井竜也

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