元ANAトップCAが教える、相手を喜ばせる「気遣い」のコツ
ANA(全日本空輸)在籍時代、天皇皇后両陛下、英国元首相マーガレット・サッチャー氏をはじめとするVIP特別機を担当し、トップCAとも言われていた里岡美津奈さん。 彼女の新刊『いつもご機嫌な女でいるためのちょっとしたコツ』には、その経験から培った“気遣い”のヒントが紹介されています。 手軽にトライできるものばかりなので、仕事やプライベートでぜひ実践してみては?
「お疲れさま」のひと言で
相手は温かい気持ちになる
外国の方に、「日本人はどうして朝から『お疲れ様』って言うの? 朝は疲れていないよ」と聞かれることがあるのですが、そのとき「『Hi!How are you?』と声をかけるのと同じよ。 Hiと同じ挨拶なの」と答えています。
「お疲れさま」とねぎらいの声をかけられたら、嬉しいですよね。 ねぎらいの言葉をかけるのは、日本の美意識の表れの一つです。 「お疲れさま」の中には、「いつも一緒に働いてくれてありがとう」「毎日頑張っていますね」など、様々なねぎらいの気持ちが込められています。 言われたほうは、一言声をかけられただけで暖かい気持ちになるものです。「お疲れさま」を言い合うことが、社会の潤滑油になっているのです。
話が苦手な人は、
傾聴の姿勢があればOK
人見知りや口下手のせいで、機転がきかない、気の利いたことを話せないと悩んでいる方も多いでしょう。 しかし、私はそのことを短所だとは思いません。むしろ、相手に話すスキを与えずにしゃべり続けてしまう人よりも、よほど好感度が高くなる可能性があると思っています。
相手に7割話してもらい、自分は3割にとどめる。この7対3の会話が、相手にとって「今日は楽しかった」と思う比率になるそうです。うまく話せない人は、聞き上手になればいいのです。さらに、相手の話を聞いているときの自分の表情や態度を意識するといいと思います。
微笑みながら相槌を打ったり、椅子から身を乗り出して話を聞くなど傾聴の姿勢を示せば、相手は「この人は興味を持って話を聞いてくれている」と安心します。
初対面の人に会うときは
2番目に好きな装いで
これは、私が日頃から心がけていることです。 初対面だからこそ、最も好きな服を着て気合いを入れようと思う人もいるかもしれませんが、とっておきの一着を着ると、それに合わせてヘアスタイルも、身に付けるアクセサリーやバッグも、履いていく靴もとっておきのモノで揃えたくなり、“盛り過ぎ”感が出てしまいます。 アクセル全開の装いは、ときに相手に威圧感を与えてしまうことがあるのです。
第一印象で「なんか派手な感じで苦手」と思われたら、次に会うチャンスを逃してしまいます。 だから、リスクヘッジの意味でも2番目にお気に入りの装いをおすすめします。 清潔感を意識した服装を心がけましょう。「もう少し足したい」ところで止めるのがベストです。
相手に華を持たせる気持ちで装いも態度も控えめで挑むと、安心感を与えコミュニケーションが円滑に進みます。
親しい人に対しても、挨拶は
落ち着いたテンションで
人は毎日、体調も微妙に違えば、心のコンディションも違います。 その日の状態で、相手の言動をどう受け止めて、どのように反応するかは変わってきます。「今日はなんとなく気分が優れない…」と感じている人に対して、高めのテンションで「おはようございます!」と言ったら、引かれてしまうでしょう。
そんなとき私は、少し弱めの対応ができる「弱から入る」で様子をうかがいます。 社内の気の置けない先輩や後輩に対しても、役職が上の人たちに対しても同じように落ち着いた感じで、今日のお加減はいかがですか?という意味を込めて「おはようございます」と挨拶します。
そのあとで、挨拶をした相手の態度はどんな感じか、声に張りはあるか/ないか、話すテンポは速いか/遅いか、笑顔があるか/ないかなどを観察していれば、どんなコンディションか見えてきます。
それが分かれば、もう少し話しかけようか、そのまま席につこうか、次の対応が見えてきます。 いきなり「強」から入るよりも「弱から入る」方が、好意的に受け止めやすくなりますし、誰かを不快にさせる可能性も低くなります。
叱ってくれた人には
まず「ありがとう」と伝える
私は、CA時代、叱られたときはその内容にかかわらず、まず「ありがとうございます」と言っていました。 言いにくいことを言ってくれた、自分だったら言えなかったかもしれないことを言ってくれた、ということに対して感謝の気持ちを述べるのです。「ありがとうございます」によって、叱ってくれた人に対してネガティブな感情がないことも伝えられます。
その上で、叱られたことについて反省の弁を述べ、自分なりの改善点を提示するなどの具体的な話をすればいいのです。
叱った側は、いろいろと考えて叱ったものの、必要以上に落ち込んでいないか、きちんと真意が伝わったのか気にしているものです。 ですから、相手から歩み寄ってくれて、前向きな姿勢を示してくれたら安堵するし、分かってくれて良かったと思うものです。 叱った、叱られたという一つの出来事をきっかけに、信頼関係を培っていくことにもつながります。
お詫びには共感する一言を添える
ただし、ルールに沿った範囲で!
CA時代、天候の問題や点検の関係で飛行機の出発が遅れることがあり、急いでいるお客様の中には、「どうしてくれるの」と怒っている方や落胆している方が少なからずいらっしゃいました。 こんなときお客様が一番心配しているのは、この先どうなるかという点です。 大事な会議に間に合わないのかもしれないし、お身内がご病気で一刻も早く駆けつけたいのかもしれません。
理由はわかりませんが、相手の立場に立てば、遅れることにより不都合な事情があるのだろうということは容易に察しがつきます。
ですから、「申し訳ございません。 ご予定がおありなんですよね」とまず共感を伝える一言を添えるだけでも相手の印象は変わります。 ただし、共感しすぎるのもよくありません。
以前、前便の出発時間にぎりぎりで間に合わず、一つあとの便に乗ってこられたお客様がいました。 かなり落胆されていたので、「大変でしたね」と共感するお言葉をかけました。 しかしここで「ちょっとぐらい出発を待っててくれてもよかったのに」と言われても、それに対して共感してはいけません。
ご機嫌な人のまわりには、幸運も人も集まってきます。とびきり「ご機嫌」な人生を送る秘訣は、いつも「ご機嫌」でいること!皇室や各国国家元首などVIPを担当した伝説の元トップCAが教える、不機嫌を断ち切り、ご機嫌な毎日にシフトする最強の引き寄せ法則が詰まっています。