元・ANA伝説のトップCAが教える、運を引き寄せる「4つの心構え」
さまざまな女性から相談を受けて思うのは、若い頃は無い物ねだりをしがちだということ。思うようなチャンスに恵まれない境遇にため息をつき、他の人をうらやましがったりするのです。これでは運など引き寄せられません。
拙著『誰からも好かれる女(ひと)の人と運を引き寄せる習慣』から、運を引き寄せるマインドコントロール法を紹介します。
01.
目標と現実とのギャップに
悩む必要はない
私の社会人生活は、会社の寮から始まりました。愛知県出身の私はずっと実家にいましたので、寮とはいえ、初めての一人暮らしです。かわいいお部屋にしようとわくわくしていました。ところが、寮についてお部屋のドアを開けると、殺風景な空間が広がっていました。ここで毎日過ごすのかと思うと暗い気持ちになりました。
さらに驚いたのが訓練内容です。当時の私は、CAとは制服を格好良く着こなし、機内でにこやかにお客様に対応するのが仕事だと思っていました。ところが、毎日教わるのは飛行機の構造や機内設備に関する勉強ばかりです。正直、かなりがっかりしました。
来る日も来る日も講義のあとにテスト。この繰り返しで、ひたすら寮と訓練所を往復する毎日でした。思い描いていたCAの仕事と現実とのギャップに、当初はかなりショックを受けました。でも、どういうお仕事でもそうだと思いますが、外からどんなに格好良く見えても、現実はかなり地道で泥臭い作業の積み重ねです。
CAでなくても準備期間が長い職業の場合、「こんなはずじゃなかった…」と挫折しそうになることがあるでしょう。でも、訓練はいつか終わります。つらい訓練を乗り切り、必要な知識を身につけなければデビューすることはできないのです。
最初は地味なポジションやアシスタント業務であっても、修行と割り切って仕事の基礎をしっかり身につけるようにしましょう。
02.
上司の注意は
ありがたい「愛のムチ」
同期の中には、ちょっと注意を受けると動揺しミスが続いてしまう人や、叱られると次のフライトでその先輩とご一緒する自信がなくて休んでしまう人もいました。
私はミスを指摘してくださった先輩には、むしろ自分からコンタクトを取るようにしていました。まずは「今後こういうことがないように注意します。本当にありがとうございました」とお詫びとお礼を申し上げます。そういうときはだいたい先輩のほうも気まずい気持ちでいるものです。こちらからアプローチしないと話すきっかけがなくなり、わだかまりが残ってしまいます。
お叱りはありがたい「愛のムチ」です。先輩の注意や指摘を素直に受け止め、お詫びとお礼を欠かさないようにしましょう。
03.
どんな新人でも
存在する価値がある
失敗やミスが続くと「私なんか、いてもいなくても同じだわ」という心境に陥りがちです。「お給料分働いていない」「存在する価値がない」と落ち込んでしまうのです。
訓練が終わってフライトに入ってからは、シフト勤務で毎回クルーが変わるので、常に緊張を強いられ、精神的にかなり疲れました。そういう環境でミスをすると、やはりいたたまれない気持ちになります。足手まといになっている自分を責め、無力感を覚えるのです。
しかし、それはあまりに視野の狭い考え方でした。フライトはキャプテンとCAの力だけではなく、大勢の方々がそれぞれの持ち場で精いっぱい働いているから成立するのです。誰一人欠けてもフライトはできません。
つまり、先輩に比べて半人前の自分でも、まずはフライトが成立する「頭数」としての価値はあるのです。どんな新人でも、きちんとした役割があって、存在する価値があるのだということを自覚しましょう。
誰でも一足飛びにベテランになれるわけではありません。まずはチームの一員であり、それだけでもお役に立っていると考えてください。いたらない自分を卑下することはありません。ネガティブな感情はなるべく抱かず、安定した精神状態でいることを心がけましょう。
04.
オフタイムのお付き合いこそ
大切にする
最近の若い方は、オンとオフをしっかり分けて、職場の人とプライベートな時間を共有するのを避ける傾向があります。上司や先輩から誘われる機会も少なくなっているようですね。でもそれはお互いにとってもったいないことだと思います。職場を離れて一緒の時間を過ごし、食事をしたり、お酒を飲んだりすることは、人の心を開き、その場にいる人同士の距離を縮める効果があります。「同じ釜の飯を食う」という言葉がありますが、フランクに話す機会を持つことは思いのほか大切です。
という私自身も実は先輩たちとふれ合う機会を避けていました。しかし、同じ班の先輩から、それで損していることもあると指摘していただき、できるだけ参加するようにしました。すると、少しずつまわりの空気が変わりました。
コミュニケーションがよくなると、仕事の連携もうまくいきますし、周囲との垣根が低くなるため、緊張することも減り、なにより自分が安定した気持ちでいられます。そういう場で初めて気がつくことはたくさんあるものです。
不景気なご時世もあって、職場での食事会もすっかり減っているので、会社によっては誘われるのを待っていても機会がないかもしれません。そういう場合は、あなたのほうからアプローチしてみませんか。
『誰からも好かれる女(ひと)の人と運を引き寄せる習慣』
コンテンツ提供元:里岡美津奈
人材育成コンサルタント。1986年全日本空輸株式会社(ANA)に入社。在職中、VIP特別機搭乗を務め、皇室、各国元首脳の接遇で高い評価を得る。2010年に退職。現在は人材育成コンサルタントとして、一般企業や病院でコミュニケーションスキルアップの指導にあたっている。