元ANAトップCAが語る。ファーストクラスの乗客に共通する「7つの習慣」

私はANAの客室乗務員として、ファーストクラスを含めたさまざまなお客様の接遇を担当してきました。お目にかかってきたたくさんの一流の方々を見ていると、不思議と共通している習慣があるように思います。

拙著『一流になれる人、なれない人の見分け方』から、そんな一流の方々が普段何気なくやっている習慣を紹介します。

01.
つねに相手の期待値の
「ちょっと上」を目指す

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期待通りのことをしただけでは、当たり前に見えてしまうものです。当たり前に思えても納得していただければいいわけですが、何か物足りなく感じられてしまうこともあります。

たとえば、お客様が「この飛行機、予定どおりの時刻に到着するの?」と聞いてこられた場合、「はい。定刻通り、何時何分に到着する予定です」とお答えすると、それは求められたことにただ答えたにすぎないわけです。

さらに「その後何かお急ぎの予定ですか?」とお尋ねすると、乗り継ぎの予定があるとか、空港に誰かが迎えに来てくれることになっているとか、その方の事情をお話しいただけます。それに対して納得したり安心したりしていただけるようなことをお答えできると、お客様は満足されるのです。

これはビジネスでも同じだと思います。上司に言われたことだけをやっていたのでは評価されません。かといって期待を大きく上回ろうと力むと、かえって失敗してしまうことになります。ですから、一歩、いや半歩くらい先を目指すのです。そうすると、その積み重ねにいつか周りも気づき、あなたの価値になっていきます。

02.
「もっともっと」ではなく
「足るを知る」の思考

元UBS銀行東京支店のチェアマンで、その後UBSイタリアのトップにもなったヴィットリオ・ヴォルピさんにお話しを伺ったことがあります。彼の口ぐせはこうでした。

「僕は死ぬまで働きたいし、お金がなかったら、いいものを食べなくていいです。お金があったら、ちょっとだけおいしいものを食べたい。星のついたレストランに行きたいとは思わない」

子どもの教育や知的好奇心に関することにはお金を惜しみませんが、それ以外のことに決して贅沢をしようとしたりはしません。ヴィットリオさんの感覚は、日本らしい言葉で言えば「足るを知る」ということではないでしょうか。

あれも欲しい、これも欲しい、もっと欲しいと欲求を膨らませて生きるのではなく、自分がすでに十分持っていることを知り、その中で快適に暮らす道を考える。一流の人は、そういう思考で生きているように思います。

03.
自分のバリューを上げる
ものにお金を使う

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「自分の価値観とお金の使い方は必ずしも一致していないのだから、お金の使い方を見直すことで自分の価値観とのずれが修正できる」と、ファイナンシャルプランナーの友人にアドバイスをもらったことがあります。

まず紙に、現在の自分は何に価値を置いているのか、自分の中で大切にしたいことはなんなのかを箇条書きにします。そしてこの一ヶ月、実際にお金がかかっているものは何かをリストにします。このふたつを照らし合わせてみるのです。自分の行動を出費からチェックすることで、自分の価値観に合った生き方をしているのかどうかが確認できます。

私は価値観にそぐわないお金の使い方を自分に戒めるために、スマホに「それは自分のバリューを上げるか?」と書いたメモを写真に撮って、パッと見えるようにしてあります。何かものを買おうとするときにそれを見て、自問するのです。ぜひやってみてください。

04.
興味がないものは
きれいさっぱり手放す

不要なものを手放せば、必ず新たなチャンスを掴めます。必要ないものはきれいさっぱり棚卸しして、スペースを空けておかないと、新しいものが入ってきません。手放すから、新しいものが取り込めるのです。

仕事や地位も同じ。自分にはもうこれ以上ここで人の役に立つことはできそうにないと自分自身が思えるほどやり切ったのであれば、その地位への執着がなくなります。

まず身のまわりを片付けましょう。今後、自分のバリューを上げてくれると思えるもの以外はどんどん捨てましょう。そして、掃除をしてサッパリしましょう。
この気持ち良さ、爽快な気分が、新しい展開、新しい気、新しい出会いを運んでくれるのです。

05.
生活のリズムを保って
精神的なリズムを安定させる

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精神科のドクターは患者さんにまず何をするかというと、生活を改めさせます。生活のリズムの乱れが精神的な波を作ってしまうので、生活サイクルを改善させるところから心を安定させる方法をとります。精神状態を安定させるためには、生活のリズムが非常に大事なのです。

朝、いつも同じ時間に起きて、同じ日課をやり、決まった時間に寝る。ただそれだけでいいのです。早起きの苦手な人は、「わかっているけど、それができないんですよ」と言います。それは「早起きしなければいけない」と思って無理やりやろうとするから、うまくいかないのです。

私は昔から朝方人間ですが、起きなければと思ったことは一度もありません。朝が好き、朝が楽しいのです。朝の気持ち良さを味わえるようなことを見つけ出しましょう。ジョギングでも、ヨガでも、カフェでの朝勉強でも、ブレックファーストミーティングでも何でもいいですが、朝からいきいきと活動する気持ち良さ、清々しさを知ると、いつまでも寝ているのがもったいなくなって起きてしまうと思います。

06.
アンフェアを嫌い
フェアな中で勝負する

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一流のエグゼクティブはアンフェアをとても嫌います。ルール、エチケットを守らずに、フェアでないことをした人は許さない。

ずるいやり方でのし上がったとしても、一瞬はいい思いができるかもしれませんが、みんなからは認めてもらえない。
だから、やがて潰されてしまいます。

日本でいうと、礼節を守るという感覚が近いと思います。日本の武士道は、礼節を重んじ、常に正々堂々と勝負する、卑怯なことをしないというのが美学になっています。
人格的に素晴らしいと尊敬される人はみんな、フェアな中で勝負しています。お金さえ儲ければいいんだ、成功すればいいんだ、という姿勢ではないのです。

一流になれる人、なれない人の見分け方
コンテンツ提供元:里岡美津奈

里岡 美津奈/Mitsuna Satooka

人材育成コンサルタント。1986年全日本空輸株式会社(ANA)に入社。在職中、VIP特別機搭乗を務め、皇室、各国元首脳の接遇で高い評価を得る。2010年に退職。現在は人材育成コンサルタントとして、一般企業や病院でコミュニケーションスキルアップの指導にあたっている。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。