犬にファーストクラスを奪われた!?「デルタ航空」で起こった珍事件の真相
窮屈なエコノミークラスを避け、広々とした空間で優雅な時間を過ごせるファーストクラスに憧れる人も多いはず。けれど、もしもそのファーストクラスの“特別待遇”が、人間ではなく、ペットに向けられたとしたら……?
最近、アメリカの航空会社で実際に起こった出来事をきっかけに、空の旅とペットを巡る議論が白熱している。
ダウングレードで浮上した「疑問」
そのワケは、サービスアニマル
事の発端は、米「デルタ航空」で発生したある騒動。「Travel Noire」が報じたところによると、デルタ航空を利用した乗客が、当初はファーストクラスにアップグレードされたものの、搭乗直前にダウングレード通告を受けた。しぶしぶ、機内に乗り込んでみると、なんとアップグレードされたはずの座席には「犬」が座っていたというのだ。
「自分の座席になるはずのところに犬……?」
当然ながら納得のいかない乗客はデルタ航空に抗議。しかし、「サービスアニマルの同伴が必要だったため」という説明を受けたのみで、具体的な理由は明かされなかったという。
この一件、瞬く間にSNSで拡散され、デルタ航空の対応に対する賛否が殺到。「顧客よりもペットを優先するのか」「サービスアニマルの定義は曖昧だ」「無料アップグレードだったなら、文句を言うのは筋違い」といった声が噴出し、大きな騒動へと発展した。
過熱する「ペット同伴」需要と
航空会社の新たな戦略
近年、旅客機内における「サービスアニマル」の存在感は増している。身体的なサポートだけでなく、精神的なサポートを目的としたアニマルも含まれるため、外見からは判断しにくいケースも少なくない。
たとえば、アメリカの主要な航空会社、「ユナイテッド航空」や「アメリカン航空」は制限付きではあるものの、機内へのペットの同伴搭乗を認めている。そして、デルタ航空もペットの搭乗を認めている航空会社の一つだった。
しかし、サービスアニマルの定義や基準は国や航空会社によって異なり、曖昧な部分も残る。明確な基準やルールが確立されていない現状では、今回のようなトラブルも起こりうるのかもしれない。今回の騒動を受けて浮き彫りになったペット同伴旅行のニーズに各航空会社がこれからどのように対応していくのかが注目されているといえるだろう。
空の旅は誰のもの?
問われる「共存」への意識
航空会社が「ペット同伴サービス」を拡充すれば、愛犬家にとっては朗報かもしれない。しかし、いっぽうで、ペットアレルギーを持つ人や、静かな機内環境を求める人にとっては、不安材料となる可能性もある。
空の旅という限られた空間で、いかに多様なニーズに対応していくのか。今回の騒動は、私たちに“共存”への意識改革を迫る、ひとつの事例と言えるのではないだろうか。