乳がんから立ち直った元・ANAトップCA 「毎日を笑顔で過ごす5つの秘訣」

いつも笑顔でいる人の周りには、自然と「いいこと」が引き寄せられます。まわりがいい「気」のようなもので満たされていくのです。人の悪口ばかり言っている人にはチャンスなど訪れません。ここでは、毎日を笑顔で過ごすための秘訣を紹介します。笑顔は自分も、まわりも、幸せにしてくれるのです。

01.
「なんで私が…」と考えない

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41歳のとき、私は乳がんだと診断されました。独身の私は、病名の告知もひとりで聞きました。今振り返れば、結果が判明するまでの数日がいちばんつらかったと思います。覚悟はできていましたが、実際にお話を聞いたときはやはり衝撃がありました。

両親に伝えることを考えると、どうしても電車に乗る気になれず、2駅ぶん歩きました。泣きながら歩いて、日比谷の帝国ホテルについた頃、心に別の思いが湧いてきました。

「今、どんなに悲しんでも病気が治るわけじゃない。乳がんだと宣告された事実は変わらないのだから、病気に立ち向かっていこう。」不安がないわけではありませんが、かなり吹っ切れた気持ちになりました。

あとで病気になった人にいろいろ話を聞くと、まず感じるのが「なぜ自分にこんな不幸が降りかかってきたのだろう?」という理不尽な思いだそうです。しかし、「なんで私が?」と思っても答えは出ません。起きてしまったことは仕方がないことです。病気が消えるわけでも、時間を巻き戻せるわけでもありません。状況を受け入れて進むしかないのです。支えてくれる周囲の人に感謝して、立ち向かっていくしかありません。

02.
生命も時間も永遠ではない
「いつか」を決める癖をつける

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私は生きていることがあまりにも普通で、意識していませんでした。でも、がんと宣告されて、初めて「死」を意識しました。41歳でしたから、病気にならなければ、まだずっと先のことだと考えていたでしょう。でも、もしかしたら死ぬのかもしれない、と思ったときに初めて「生きる喜び」を実感したのです。

それからは考え方が変わりました。一番変わったのは、時間に対してです。いままでは「いつか時間ができたらやろう」と思うことがあったのですが、「じゃあ、いつかっていつのこと?」と自分に問いかけるようになりました。

人生は「いま」の積み重ねで、結局「いま」しかありません。過去はもう通り過ぎたこと、そして未来は誰にも約束されていません。人は明日死んでしまうかもしれないのですから。つまり、「いつか」は自分で決めない限り、永久に訪れないのだと知りました。

まだ、これからがある人にこそ、死を意識して、生の喜びを知ってほしい。いまを楽しみながら一日一日をていねいに生きることを真剣に考えて欲しいと思います。
自分の生命も時間も永遠ではないと気づくことから、本当の人生が始まるのかもしれません。あなたの一瞬一瞬を大切にして、素敵な人生をつくり上げてください。

03.
万全な体調管理で
「アテになる人材」になる

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乳がんで長期休職をする前の私は、新人の頃、胃潰瘍で休んだくらいしか病欠の記憶がありません。ケガや風邪で休むということもほとんどありませんでした。会社から見れば、そういう意味でも「アテになる人材」だったでしょう。休まない人という実績ができれば、それもまた評価の対象になります。

ただ、病気をしてからは、よいコンディションでフライトするためにも、疲れがたまらないように休むときはしっかり休むパターンに変えました。心身ともに自分のコンディションをきちんと管理して、出社しているときは十分に働けるようにしっかり休むことも必要です。

ちょくちょく休んだり、いきなりの病欠を繰り返すと、「肝心なときにいない人」という印象を与えてしまいます。それよりは事前に休暇を申請して、スケジュール調整に支障がないようにするほうがよっぽどいいのです。

仕事に万全の体調でのぞむのはプロフェッショナルとして当然です。いつも健やかでいる人はそれだけで好印象を与えます。自分自身の身体をいたわりながら業務を遂行できる人こそ、運を呼び込むのです。

04.
後輩の下でも
持ち場でベストを尽くす

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休職して約1年後の3月。私は体力面に多少の不安を感じながら、職場に復帰しました。ANAでは3カ月以上のブランクがあると、訓練所で再トレーニングを受けます。全機種のドア操作やエマージェンシー訓練を3日間みっちりおこない、不在中に変わった点のオリエンテーションなどで最初の1週間はバタバタと過ぎていきました。

そして1カ月間はチーフパーサーではなく、いちCAとして乗務します。若いCAにまじりながらエコノミークラスを担当したときには、長く手がけていない業務だったので苦労しました。新人のパワーに押され、はるか年下の後輩に時には怒られながら、懸命に業務をこなしました。CAの仕事は社歴ではないのだとあらためて思い知らされました。

ここで、言われた言葉に過敏に反応し、「後輩にこんなことを言われてしまうんだ」と感情的に捉えてしまうと、きっとつらかったと思います。
ただ、彼女たちも、個人の感情で注意したり、意地悪で言っているのではありません。みんなの目的はただひとつ。いいフライトにしたい。お客様にご満足いただいて無事目的地に着きたい。それだけです。そう考えて、何があっても理性的に判断しました。

後輩より下のポジションに就くと、へこんでしまう人もいます。しかし、お互いの役割なのだと割り切って、自分の持ち場でベストを尽くせばいいのです。

05.
目の前の人の
「期待を上回る」ような
創意工夫を

Smiling business colleagues walking outdoors and discussing.

「チャンスを引き寄せるにはどうしたらいいのでしょう。私は運が悪くて……」とおっしゃる方に時々出会います。でも、そういう方ほど、現在のポジションや仕事について不満を抱え、「私はもっと認められていいはず」と感じていらっしゃるようです。そして、運のいい人をうらやましがる。

どんな職業であっても、自分が置かれている場所でベストを尽くし、「ほんものになること」を目指していけば、道は拓けていくものではないかと思います。私は一流大学を出ているわけでもありませんし、同期の中で特に優秀だったわけでもありません。入社した頃は世慣れていない「浮世離れちゃん」でした。でも、そんな私が当時から心がけていたことがあります。それは「目の前の人に喜んでほしい」という気持ちです。

仕事を依頼されたら、それをこなすだけでなく、「里岡さんにお願いしてよかった」と思っていただけるよう、ちょっぴりでもいいから期待を上回りたい。そう考えてひとつひとつの仕事に取り組んできました。そうやってベストを尽くして仕事を続けていると、思わぬところから思わぬお話をいただいたりするものです。

目の前の人を喜ばせるために創意工夫をする。そして続けていく。その積み重ねが運を引き寄せ、思いがけないチャンスに結びつくのではないでしょうか。

誰からも好かれる女(ひと)の人と運を引き寄せる習慣
コンテンツ提供元:里岡美津奈

里岡美津奈/Mitsuna Satooka

人材育成コンサルタント。1986年全日本空輸株式会社(ANA)に入社。在職中、VIP特別機搭乗を務め、皇室、各国元首脳の接遇で高い評価を得る。2010年に退職。現在は人材育成コンサルタントとして、一般企業や病院でコミュニケーションスキルアップの指導にあたっている。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。