元ANAトップCA直伝!コミュニケーション能力をアップさせる「6つの方法」
なかなかわからないあの人の気持ち…。職場の人間関係でも、クレームをつけるお客様に対しても、相手の気持ちを察することは重要です。
そんな相手の気持ちがわかるようになるためのアドバイスを拙著『「また会いたい!」と言われる女(ひと)の気くばりのルール』にまとめました。サービスの仕事だけでなく、日ごろの人間関係でも使えるメソッドがつまっています。ぜひ今日から実践してみてください。
01.
呼びかけは
あえてファーストネームで
コミュニケーションのスタートはまず、相手にきちんと興味を持ち、向き合おうとしている気持ちを態度で示すことです。
私が尊敬するキャプテンの方は、同乗するクルーを必ずファーストネームで呼んでいました。それだけで、単なる同僚ではなく、フライトを無事遂行するチームの仲間として認められているという気持ちが伝わり、うれしくなりました。
あなたは同じセクションの人のファーストネームをどれだけ知っていますか?相手の気持ちをつかみ、自分との距離がグッと縮まるきっかけになるかもしれません。
02.
「察する」ことも
コミュニケーションのひとつ
人間は言葉以外のコミュニケーション手段を持っています。だからこそ、「察して」ほしい時や事柄があります。言葉にはしないけれど、態度や視線などで伝えようとする時は、ネガティブな事情を察してほしいと思われていることが多いです。言葉にする前にお客様の素振りに気づき、お声掛けしなければなりません。
例えば、お客様が通路に立ち、チケットを持って何度もシートナンバーを見比べていらっしゃいます。おそらく先にいらしたお客様が間違えてお座りになったのでしょう。こういう時ほどいちはやく気づいてお客様をご案内しなければなりません。
幸いその便は反対側の同じ席が空いておりましたので、お声掛けしたところ、気持ちよく替わっていただけました。もちろん満席の場合は先にお座りのお客様にお声掛けしますが、このほうが席を間違えたお客様にも恥をかかせずに済み、事態が穏便に収まります。
03.
言葉の裏に隠されたホンネを探る
言葉以外のシグナルに気づくことも大切ですが、言葉の裏に秘められた気持ちに気づくこともまた大切です。
ある時、窓際の席に替わりたいというお客様がいらっしゃいました。あいにくその便の窓側は満席です。理由をおたずねすると「外が見たいから」とおっしゃいますが、夜間便ですし、夜景が美しい航路でもありません。
少し考えて、後ろから2列目で2つ続きで空席になっている場所にご案内しました。隣のお客様を気にせず、くつろいでいただけると思ったからです。「窓側」とおっしゃったのは、なるべくひとりで静かに過ごしたいというメッセージではないかと直感で思いました。降りられる時、「非常にゆっくりできて快適だった。ありがとう」と、とても喜んでくださいました。お疲れだったのでしょう。
「窓側」という言葉の裏側にあるお客様の気持ちを察して考えれば、お客様のお気持ちに沿ったご提案ができます。あなたの裁量でできるちょっとした気くばりが、快適なおもてなしにつながります。
04.
共感しすぎない
そして、感情に流されない
お客様はそれぞれにご事情があり、ご要望とともにクレームをいただくこともあります。すべてにご対応できないのもたしかですし、ご要望が通らないのにもそれなりの理由がありますが、「できません」というお返事で終わってしまっては、身も蓋もありません。
ある時、前便の出発時間に間に合わず、1つあとの便に乗ってこられたお客様がいらっしゃいました。「15分前に到着していたのに…」とかなり落胆されているご様子です。こちら側に落ち度はありませんし、ご説明して次の便をご案内し、お客様も頭では納得されています。
でもお身内が危篤なのかもしれませんし、大事な会議に間に合わないのかもしれません。まずはその思いを受け止め、「そうでしたか…。それはたいへんでしたね」と共感するお言葉をかけるだけでも、いくぶん気持ちが休まるものです。
ただし、そこで「ちょっと待っててくれればよかったのに」と共感しすぎてはだめです。ルールはルール。感情に流されてはいけません。
05.
自分と違う人の中に
隠れた学びを見つける
自分なりの考え方や対応力だけでは限界があります。違うタイプの人のアドバイスが解決のきっかけになる場合も少なくありません。「なるほど、そんな考え方もあるわね」と気づくきっかけをくれることも多いです。
タイプの違う人の発想には気くばりのいいヒントが隠れています。性別、年齢、職業、国籍などが違えば、やはり発想が違います。そういう人の言動にもぜひ注目して参考にしてみてください。
06.
気くばりのヒントは
映画やドラマから学ぶ
自分の価値観がすべてではないことを肝に銘じ、ひとつのものさしだけで判断しないようにしましょう。おもてなしやサービスに携わる人は、人の行動や心理を受け止める感性を養っていくことが大切です。こうした感性は経験を積み、日ごろから意識することで伸ばしていけます。そのためにはいつもアンテナを張って、人の言動に敏感になり、映画やドラマから感じ取ったヒントも気くばりに活かしましょう。
例えば海外ドラマからは、スマートな振る舞いとノーの言い方を学べます。デートや仕事の断り方なども、なるほどというケースがあり、応用したこともあります。
映画やドラマを見る時、「仕事の参考になるかも…」という考えも頭の片隅に入れておきましょう。
『「また会いたい!」と言われる女(ひと)の気くばりのルール』
コンテンツ提供元:里岡美津奈
人材育成コンサルタント。1986年全日本空輸株式会社(ANA)に入社。在職中、VIP特別機搭乗を務め、皇室、各国元首脳の接遇で高い評価を得る。2010年に退職。現在は人材育成コンサルタントとして、一般企業や病院でコミュニケーションスキルアップの指導にあたっている。