優先できなかった相手を不機嫌にさせない「魔法のフォロー」とは?
ダブルブッキングや会議で意見が割れたときなど、どちらかを優先しなければならないケースは多々あります。そんなとき、慎重に対応するべきなのは「優先しなかったほう」です。では、どんな風に伝えれば相手を傷つけずに済むでしょうか?
その答えは、伝説の元ANA CAマネージャーの加藤アカネさんの著書『言いにくいことを言わずに相手を動かす魔法の伝え方』にありました。
01.先約をしている人にカドを立てず断る方法
NGワード:「ご相談に乗っていただけますか?」
「先約よりも重要な案件が飛び込んできてしまったケース」や、「うっかりダブルブッキングになってしまったケース」。これらは、社会人にとってつきものです。
正論はもちろん「先約を優先」ですが、仕事をしていると「先約は大事。でも後から入った約束が、それ以上に大事」といったことも…。
そのとき言ってしまいがちな「ご相談に乗っていただけますか?」は良い伝え方ではありません。こちらの都合で予定を変更するので「相談」ではなく、「折り入ってお願いがございます」と、正攻法で切り出しましょう。
それでも相手が怒りそうな場合は、「うっかりパターン」の体で「せっかく大切なお話をいただいたにもかかわらず、私の不手際でこの日に先約のあったことが先ほど判明いたしました。大変申し上げにくいのですが、予定を変更していただけませんでしょうか」と伝えます。あとから別の約束が入ったと伝えるよりは、管理が甘かったと伝えるほうが「自分より先約がいたんだな」と納得していただけるはず。
ここで気をつけたいのは、「どんなアポイントが入ったかは明かさない」こと。いかにイレギュラーな出来事であるかを強調したくても、相手からすると複雑な気持ちになります。
そして、相手に「お願い」をしたあとは、必ず新しいスケジュールを提案しましょう。
「明日以降いつであればご都合がよろしいでしょうか。私は、こちらとこちらの日にちであれば、すぐにうかがえます」と伝え、本来の約束の日よりも早い日程を選択肢に入れておくと、より誠意が伝わります。
魔法の言葉:「こちらとこちらの日にちであれば、すぐにうかがえます」
02.意見Aと意見B一方を傷つけずに一方を採用するときの注意点
NGワード:「あなたのダメなところは……」
あなたがリーダーで部下たちの意見が対立したとき、前に進めるためにはどちらかの意見を採用しなければいけません。
そうすると、採用されなかった側の部下は落ち込み、プライドも傷つきます。そんなときリーダーとしてするべきなのは「もう一方が採用された理由」を伝えること。すると、採用になった提案と自分の提案の何が違っていたのかを考えるきっかけになります。
また、ダメな点を伝えるのではなく「◯◯という切り口はおもしろかった」などの良かった点を伝えてあげると、次の仕事に活かす方法を一緒に考えてあげることができます。
部下や後輩は一人ひとり個性があります。得意なところはもちろん、ダメなところも際立つように「レッテルを貼る」のは有効です。
たとえば、高校時代の担任が遅刻常習犯の生徒に「みんなが遅刻しないように、お前が先頭を切ってくれ」と言ったところ、遅刻しなくなるだけでなく、遅刻を防ぐアイデアを出すようになるといったこともありました。
欠点を逆手にとって「ダメな状態を知っているお前だからこそ、できるだろう」と励ますことで、やる気を奮い立たせ、個性が活かすことができます。
魔法の言葉:「ダメな状態を知っているお前だからこそ、できるだろう」
03.部下と他部署が対立…えこひいきせずに部下を守るには?
NGワード:「◯◯が頑張っているから応援してやってください」
部を横断した新サービスの立ち上げなどで、自分の部下が他部署のスタッフからダメ出しをされたとします。上司としては部下を守ってあげたいのですが、やり方を間違えると部下を守るどころか、部の評価そのものを下げることに。
大切なのは、個人を前面に出して話さないこと。自分と同格の担当者に連絡を入れ、部と部、課と課の話し合いにします。
「◯◯が頑張っているから応援してやってください」と言うのではなく、「◯◯の意見を聞き、私もお互いの部にとってプラスになると判断し、◯◯に提案するように勧めたのですが、どうもそちらの部のご意向とそぐわなかったようだと報告を受けまして、少しお話しさせていただければと連絡しました」と切り出しましょう。
「どの辺りが問題になっているのか、今後のためにも、お聞かせいただけないでしょうか?」と将来に向けた改善のためであることを前面に出します。
そうすれば、お互いに仕事を通じてなにを目指しているのかという建設的な話し合いになります。
魔法の言葉:「どの辺りが問題になっているのか、今後のためにも、お聞かせいただけないでしょうか?」
「言いにくいこと」を言わなくても、願うとおりに相手が動いてくれたら……。そんな悩みを「伝説の元ANA CAマネージャー」の加藤アカネさんがみるみる解決。相手を不快な気分にすることなく相手を動かす、魔法の話し方がまとまった1冊。