伸びる組織には「論語の思想」あり!?有能なリーダーの心得とは
どの組織にも存在する、リーダー。そのポジションの力量により、組織の士気は大きく変わります。では、より良い組織をつくるリーダーになるためには、どんな素質が必要なのでしょうか?その答えは、数々の人間の本質がまとめられた『論語』にありました。
東洋思想研究者である田口佳史さんの著書『論語の一言』から、リーダーの育成論を学んでみましょう。
01.リーダーの素質は
「義」にあり
「義」にあり
君子を躬行することは、則ち吾未だ之を得ること有らず。
(くんしをきゆうかうすることは、すなはちわれいまだこれをうることあらず)
【意味】立派な人物と認められるような言動ができているかと言うと、自分もまだまだできていない。
他者のために行動する美しさを表す「義」の精神。学問に優れた孔子でさえ体得・実践できなかったこの精神こそ、リーダーに最も必要な素質なのです。「義」を学ぶための方法はひとつ。さまざまな人と交流し、優れた人物を観察することだと論語は教えてくれます。
02.礼儀正しく
「謙虚」に生きる
「謙虚」に生きる
君子は義以て質と爲し、禮以て之を行ひ、孫以て之を出だし、信以て之を成す。君子なるかな。
(くんしはぎをもつてしつとなし、れいもつてこれをおこなひ、そんもつてこれをいだし、しんもつてこれをなす。くんしなるかな)
【意味】立派な人間は、生きていく本質を義に置く。そして礼儀正しくふるまい、謙虚な気持ちで発言し、真心を込めて人と交流することによって義を実践する。そういう人こそが君子である。
ここでは「義」をどう実践するべきか説いています。気をつけるべきは、礼儀正しさと謙虚な姿勢、そして常に真心を込めて行動すること。人と交流するときや物事に取り組むときは、この3つを心がけてみては?
03.「存在感」で
人を動かす
人を動かす
如し王者有らば、必ず世にして後に仁ならん。
(もしおうじやあらば、かならずよにしてのちにじんならん)
【意味】もし優れた資質をすべて備えた王者がいるとすれば、人々はその仁徳に感化され、30年で最高の道徳的な社会になるだろう。
「世」というのは「十」が3つ重なっていることから30年。つまり、1世代を表しています。より良い組織をつくるためには、長い年月をかけて、部下を良い方向に感化させなければなりません。リーダーに必要なのは、良い法律をつくることではなく、周囲が惚れ込むような人格を持ち、絶対的な存在感であることなのです。
04.
上下関係には「礼」と「忠」
上下関係には
君は臣を使ふに禮を以てし、臣は君に事ふるに忠を以てすと。
(きみはしんをつかふるにれいをもつてし、しんはきみにつかふるにちゅうをもつてすと)
【意味】君主は臣下に礼儀正しく接し、臣下は君主に対して誠心誠意の真心を込めて仕えなければならない。
上司が大勢の面前で部下を叱りつけ、部下は自分の評価を気にしてミスを隠す。よくありがちですが、この関係から信頼は生まれません。理想的な信頼関係をを築くために、上司は部下に対して最低限の礼儀をもち、部下は上司に対して誠実な態度で接しましょう。
05.
優れたリーダーは「修養」を忘れない
優れたリーダーは
己を脩めて以て敬すと。
(おのれををさめてもつてけいすと)
【意味】自分の修養に努め、自分を敬うことのできる人だ。
「君子とはどういう人物であるべきなのでしょうか?」という問いに対して孔子が答えたのが、この言葉です。トップに立つ人間にとって大切なのは、自分の行いを正し、身を修め、整えること。それによって優れた人格を形成することなのです。
人間の本質を記した『論語』こそ、さまざまな不安や悩みを抱えた現代人が「ぶれない自分」をつくるための最良のテキスト。2,000社の企業改革を指導し、多くの社会人教育を実践してきた東洋思想研究者である著者が、論語の「一言(いちげん)」をわかりやすく講義。